山田準『洗心洞箚記』(本文)277

山田準『洗心洞箚記』(本文)277 Я［大塩の乱資料館］Я
2011.1.12

『洗心洞箚記』　(本文)

その２７７

山田　準訳註

岩波書店 1940　より

◇禁転載◇

下　巻 訳者註

　　　　　　　　　　　この 一二六　　朱子白く、「斯道の本体を語れば、則ち　之を太極と謂ふ。太極の流行を語れば、則ち之を　道と謂ふ。二名ありと雖も、初めより両体無し。　●あの　　　　　　　　　　こ　那箇満山の青黄碧緑は是れ這の太極にあらざる無　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あの　し」と。是れ何等の快活の談ぞや。人若し那箇満　山の青黄碧緑太極たるの旨を知らば、則ち門を出　　 ●はうくわん　　　　　　　　　　た　　　　　● 　でて放観するも亦た道なり、何ぞ但だ戸を閉ぢ蠧　魚の間に周旋して道を学ぶと云はんや。　　朱子曰、「語斯道之本体、則謂之太極、語　　太極之流行、則謂之道、雖有二名、初無　　両体、那箇満山青黄碧緑、無非是這太極、」　　是何等快活之談也耶、人若知那箇満山青黄碧緑　　為太極之旨、則出門放観亦道也、何但閉戸　　周旋蠧魚之間而学道云乎哉、

●那箇云々。那箇は「彼の」といふ如し、あの色とりどりの山色は太極の表現なり。 ●放観。一二分に観る。 ●蠧魚。書物をむしぱむ虫、因て書物を称す。

下　巻	訳者註
この一二六　　朱子白く、「斯道の本体を語れば、則ち　之を太極と謂ふ。太極の流行を語れば、則ち之を　道と謂ふ。二名ありと雖も、初めより両体無し。　●あの　　　　　　　　　　こ　那箇満山の青黄碧緑は是れ這の太極にあらざる無　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あの　し」と。是れ何等の快活の談ぞや。人若し那箇満　山の青黄碧緑太極たるの旨を知らば、則ち門を出　　 ●はうくわん　　　　　　　　　　た　　　　　● 　でて放観するも亦た道なり、何ぞ但だ戸を閉ぢ蠧　魚の間に周旋して道を学ぶと云はんや。　　朱子曰、「語斯道之本体、則謂之太極、語　　太極之流行、則謂之道、雖有二名、初無　　両体、那箇満山青黄碧緑、無非是這太極、」　　是何等快活之談也耶、人若知那箇満山青黄碧緑　　為太極之旨、則出門放観亦道也、何但閉戸　　周旋蠧魚之間而学道云乎哉、	●那箇云々。那箇は「彼の」といふ如し、あの色とりどりの山色は太極の表現なり。 ●放観。一二分に観る。 ●蠧魚。書物をむしぱむ虫、因て書物を称す。

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