●くかくがい すなは ●
二 躯殻外の虚は便ち是れ天なり。天は吾が心なり。
はうがん こゝ さと
心は万有を葆含すること、是に於て悟るべし。故
に血気ある者は、草木瓦石に至るまで、其の死を
み さいせつ きくわい
視、其の摧折を視、其の毀壊を視れば、則ち吾が
も
心を感傷せしむ。本と心中の物たるを以ての故な
よく ふさ こゝろ
り。若し先づ慾あつて心を塞けば、則ち心虚にあ
●
らず。虚にあらざれば、則ち頑然たる一小物にし
すなは こつにく ぶん
て、而て天体にあらざるなり。便ち骨肉と既に分
かく をは
隔し了る、何ぞ況や其の他をや。之を名づくるに
り
小人を以てす、亦た理ならずや。
躯殻外之虚、便是天也、天者、吾心也、心葆
含万有、於是焉可悟矣。故有血気者至草
木瓦石、視其死、視其摧折、視其毀壊、
則令感傷吾心、以本為心中物故也、若先
有慾而塞心、則心非虚、非虚則頑然一小物、
而非天体也、便与骨肉既分隔了、何況其他
耶、名之以小人、不亦理乎、
|
●躯殻。肉体。
●天の虚霊は吾
心の虚霊。
●頑然云々.知
覚なき頑然たる
我は、天体が肉
体を離れ了る。 |