どうさ ● ●
五〇 常人の動作云為は、只だ苟もするのみ。財に臨
そし
みては苟も得、難に臨みては苟も免れ、苟も り、
ばう
苟も笑ひ、一として苟もせざる莫し。而て常人に貌
君子の如く遅重なる者あり。其の細故小変に於ては、
●
苟もせざる如しと雖も、利と害に臨んでは、必ず其
あら
態を露はす。是の故に君子は敬して以て其の病を除
く。其の病を除いて、然る後始めて苟もするの軽浮
を免れんか。
常人動作云為、只苟而已矣、臨 財苟得、臨 難苟
免、苟 、苟笑、莫 一不 苟也、而常人有 貌如
君子 遅重者 、其於 細故小変 也、雖 如 不 苟焉、
臨 利与 害必露 其態 矣、是故君子敬以除 其病 、
除 其病 然後始免 苟之軽浮一 歟、
|
●云為。云ふこ
と為すこと。
●苟もする。深
き考へなく、か
りそめにする。
●其態。苟もす
る醜態。
|