山田準『洗心洞箚記』(本文)44 Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.6.11

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『洗心洞箚記』 (本文)

その44

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

            いん  あま     けん だつ 五九 吾れ既に職を辞して隠に甘んじ、険を脱して安  に就く。宜しく高臥して労苦を舎て、以て自性を楽             よは            けん  むべし。然かも夙に興き夜に寝ね、経籍を研し、生  徒に授くるものは何ぞや。此れ是れ事を好むにあら         ず、是れ口を糊するにあらず、詩文のためならず、                せいよ  博識のためならず、又た大いに声誉を求めんと欲す  るにあらず、再び世に用られんと欲するにあらず、                     ●    ●はん  只だ学んで厭はず、人を誨へて倦まざるの陳迹を扮          あや   なか  し得るのみ。世人恠しむ莫れ、又た罪する莫れ。鳴  呼心太虚に帰するの願ひ、則ち誰か之を知らんや、  我れ独り自ら知るのみ。   吾既辞職而甘隠、脱険而就安、宜高臥舎労   苦、以楽自性、然夙興夜寝、研経籍、授生   徒者、何也、此不是好事、不是糊口、不   詩文、不博識、又不大求声誉、不   再用於世、只扮得学而不厭誨人不倦之陳迹   而已、世人莫恠、又莫罪、鳴呼、心帰乎太虚   之願、則誰知之乎、我独自知焉耳、









口糊。くちす
ぎ、生計。



論語述而篇の
語。

陳迹。ふるき
あと。

扮。装ひ、ま
ねる。


石崎東国『大塩平八郎伝』 その43


『洗心洞箚記』(本文)目次/その43/その45

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