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六〇 呂新吾先生曰く、利を見ては前を向ひ、害を見
ては後に退く、同功には美を己に専らにし、同過に
ゐ かうたい
は罪を人に委す、これ小人の恒態にして、而て丈夫
ちこう だ むちう
の恥行なりと。吾れ常に之を誦して惰心を鞭つ。利
あへ すゝ
を見て肯て前まず、害を見て肯て退かず、同功は則
ち之を人に帰し、同過は則ち之を己に受く、惟だ是
れ勉めて以て之を行ふ、猶彼れに類せんを恐る。况
●いう ど
や悠悠虚度する者、未だ必ずしもよく之を免るる能
はざるなり。
呂新吾先生曰、見利向前、見害退後、同功専
美於己、同過委罪於人、此小人之恒態、而丈夫
之恥行也、吾常誦之鞭惰心、見利不肯前、見
害不肯退、同功則帰之乎人、同過則受之乎己、
惟是勉以行之、猶恐類於彼、況悠悠虚度者、未
必能免之也、
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●呂新吾。明の
学者、名は坤、
新吾と号す、呻
吟語を著はす。
●悠悠虚度。ぷ
ら\/と月日を
むだに過す。
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