山田準『洗心洞箚記』(本文)48 Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.6.15

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『洗心洞箚記』 (本文)

その48

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

    六三 先天は理のみ、而て気其の中に在り。後天は気  のみ、而て理其の中に在り。要するに理と気とは一                     えき  にして二、二にして一なるものなり。実に易を知る          たれ  者にあらずんば、孰かよく之を見んや。   先天者理焉耳、而気在其中矣、後天者気焉耳、   而理在其中矣、要理与気一而二、二而一者也、   非実知易者、孰能見之也哉、       けん             すく 六四 聖賢の権を行ふや、仁義忠信の窮るを済ふ。而  て仁義忠信之を待つて以て世に行はば、則ち上下治  まる。奸悪の権を行ふや、己を利し人を害ふの私を  為す、而て己を利し人を害ふこと、之に因つて以て            やぶ  世に施さば、則ち風俗壊る。それ権は一なり、而て                     もう  善悪の相隔たる乃ちかくの如し。周公・王莽の事に  於て見るべし。慎まざるべけんや。   聖賢之行権也、済仁義忠信之窮、而仁義忠信、   待之以行于世、則上下治矣、奸悪之行権也、   為己害人之私也、而利己害人、因之以施   于世、則風俗壊矣、夫権一、而善悪之相隔乃如   此、於周公王莽之事、可見矣、可慎哉、



先天。易の文
言に「天に先つ
て天違はず、天
に後れて天時を
奉ず」とあり、
先天は本体、後
天は現象といふ
如し。











行権。孟子に
「経に反して道
に合するを権と
曰ふ」とあり、
応変の計。




●周公王莽。周
の名宰相周公旦
は、摂政として
太平を興す、前
漢末の外戚王莽
は摂政として王
位を奪ふ。   


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