●はつふ きしやう
四 身体髪膚之を父母に受く、敢て毀傷せざるは孝の
おも
始なりと。吾れ惟ふ心の徳、之を天に受く、敢て
● えう
其の徳を毀傷せざるは、孝の要なり。
身体髪膚、受之父母、不敢毀傷、孝之始也、
吾惟心之徳、受之於天、不敢毀傷其徳、孝
之要也、
●
五 身外の虚は、即ち吾が心の本体なり。故に曰く、
● の
大を語れは天下能く載するなしと。
身外之虚者、即吾心之本体也、故曰、語大天
下莫能載焉、
つつ しんない
六 形よりして言へば、則ち身は心を裏み、心は身内
つゝ
に在り。道よりして観れば、則ち心は身を裏み、
身は心内にあり。其の心は身内に在りと謂ふ者、
●さうそん わ もの わづら
一たび操存の功を遺するれば、則ち物我を累はす。
さと ●てうだつ めう
其の身は心内に在りと覚る者は、常に超脱の妙を
もの えき
得て、我れ物を役す。物を役すると、物に累はさ
がくしや
るるとの別は、学者宜しく之を知るべし。
自形而言、則身裏心、心在身内焉、自道而
観、則心裏身、身在心内焉、其謂心在身内
者、一遺操存之功、則物累我、其覚身在心
内者、常得超脱之妙、而我役物、役物与累
于物之別、学者宜知之、
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●孝軽に見ゆ
●孝の要綱。
●宇宙の虚霊は
吾心の本体。
●中庸に見ゆ、
大の極を曰ふ。
●操存云々。孟
子告子上篇に孔
子の語を引いて
「操れば存し舍
つれば亡ぶ其れ
惟だ心の謂ひ
か」とあり、本
心を操り守らず
ば、物欲に累は
され迷ふ。
●超脱。物の累
より超越す。
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