● そ ●どうき ●
七九 三蘇の学は道器を以て別と為し、二程の学は道
●らくしよく
器を以て一と為す、是れ乃ち洛蜀争端の源する所な
けん ●き
り。而て二程の見は聖人に詭せず。然れども学人本
心の良知に本かず、徒に道器は一と謂ふ、則ち恐ら
しやくがく
くは亦た釈学の空に陥らん。これ聖学の難き所なり。
三蘇之学、以道器為別、二程之学、以道器為
一、是乃洛蜀争端之所源也、而二程之見不詭乎
聖人、然学人不本本心之良知、徒謂道器一、
則恐亦陥於釈学之空矣、是聖学之所難也、
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●三蘇。父の蘇
洵と、その二子
蘇軾(東坡)蘇
轍(頴浜)の三
人を云ふ。皆唐
宋八大家に列す。
●道器。易の繋
辞伝に「形而上
は道と謂ふ、形
而下は器と謂
ふ」とあり。無
形の理、有形の
事といふ如し。
●二程。宋の程
明道、程伊川を
云ふ。
●洛蜀。二程は
河南の洛陽の人、
三蘇は四川の蜀
の人、互に党争
す。
●詭せず。違ひ、
そむかず。
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