● さゝ も
八五 月の樹葉に障へらるや、而も葉間光を漏らすと
さへぎ か
雖も、葉の当る処は遮り了る。乃ち月体を虧ぐるに
似て而も虧ぐるにあらず。これ常人良知の気質に障
●いんけんだんそく
へられて、而て隠見断息するの義を悟るべし。故に
学気質を変化するに至らざれば、則ち良知内に存す
せうてつ
と雖も、焉んぞよく外に照徹せんや。
月之障乎樹葉、而雖葉間漏於光、葉之当処遮
了、乃似虧月体而非虧焉、是可悟常人良知
之障於気質、而隠見断息之義也、故学不至変
化気質、則良知雖存於内、焉能照徹於外也哉、
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●樹葉。後の気
質に当る。
●隠見断息。良
知が隠れ、見え、
断たれ又た続く。
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