●はか
九四 孟子曰く、虞らざるの誉あり、全きを求むるの
そし こ
毀りありと、誠なるかな是の言や。それ虞らぎるの
こゝろ
誉あれば、必ず全きを求むるの欲心に生じて、而て
● そし きう
外掩表飾す、故に毀りをこれ招く、これ天咎にして
ばう けん
人謗にあらざるなり。我れ吾が躬に於て之を験し、
あせ うる じらい き
汗背を湿ほす。爾来心虚に帰するに従事し、而て毀
よ ● きづ
誉の念、惟だこれ務め去れり。吾れ実に虎の為に傷
つけられし者なり、謹みて之を同志に告ぐと云ふ。
孟子曰、有不虞之誉、有求全之毀、誠哉是言
也、夫有不虞之誉、必求全之欲生於心、而外
掩表飾、故毀之招、此天咎而非人謗也、我於吾
躬験之、汗湿背、爾来従事心帰乎虚、而毀誉
之念、惟是務去、吾実為虎所傷者也、謹告之同
志云、
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●予期しない名
誉、完全を求め
ながら受ける毀
り、孟子離婁篇
に見ゆ。
●外掩表飾。過
失を隠し、表面
をかざるの意。
●実に云々。程
伊川が、虎に傷
けられし経験あ
る者は、切実に
虎を怖れるとの
引例を以て知と
行との関係を論
ぜしを云ふ。
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