山田準『洗心洞箚記』(本文)74 Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.10.1

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『洗心洞箚記』 (本文)

その74

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

        はか 九四 孟子曰く、虞らざるの誉あり、全きを求むるの  そし            毀りありと、誠なるかな是の言や。それ虞らぎるの                 こゝろ  誉あれば、必ず全きを求むるの欲心に生じて、而て          そし          きう  外掩表飾す、故に毀りをこれ招く、これ天咎にして   ばう                  けん  人謗にあらざるなり。我れ吾が躬に於て之を験し、  あせ   うる      じらい               汗背を湿ほす。爾来心虚に帰するに従事し、而て毀                       きづ  誉の念、惟だこれ務め去れり。吾れ実に虎の為に傷  つけられし者なり、謹みて之を同志に告ぐと云ふ。   孟子曰、有虞之誉、有全之毀、誠哉是言   也、夫有虞之誉、必求全之欲生於心、而外   掩表飾、故毀之招、此天咎而非人謗也、我於吾   躬之、汗湿背、爾来従事心帰乎虚、而毀誉   之念、惟是務去、吾実為虎所傷者也、謹告之同   志云、



予期しない名
誉、完全を求め
ながら受ける毀
り、孟子離婁篇
に見ゆ。

外掩表飾。過
失を隠し、表面
をかざるの意。



実に云々。程
伊川が、虎に傷
けられし経験あ
る者は、切実に
虎を怖れるとの
引例を以て知と
行との関係を論
ぜしを云ふ。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その73/その75

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