山田準『洗心洞箚記』(本文)75

山田準『洗心洞箚記』(本文)75 Я［大塩の乱資料館］Я
2009.10.2

『洗心洞箚記』　(本文)

その７５

山田　準訳註

岩波書店 1940　より

◇禁転載◇

上　巻 訳者註

　　　　　　　　●　　　　　　　　　かろ九五　孟子曰く、大人に説けば則ち之を藐んぜよ、其　　ぎゝ　の巍巍然たるを視る勿れと。註に曰く、巍巍は富貴　　　　　　　　かろ　高顕の貌なり、藐んじて而て之を畏れざれば、則ち　　　じよてん　　　　　　　　　かろ　志意舒展す云々と。これ其人を藐んずるや、又た勢　　　かろ　位を藐んずるや、未だ分暁ならず。而も吾れ以て決　　　　　　　かろ　　　　　　　　　　　　　かろ　して其の人を藐んずるにあらず、必ず勢位を藐んず　　　　　　　　 ●りくげんざん　る者と為せり。後陸山の金台紀聞の劉司直の言を　　　　　　　　　　　　　　　　かろ　読むに及びて、断じて其の勢位を藐んずることを信　　　　　　　　　　　いや　ぜり。而て人の如きは賤しと雖も、道の存する所な　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しやく　り、焉んぞ之を藐んずるを得んや。而も況や爵ある　者をや。　　孟子曰、説大人則藐之、勿視其巍巍然、註　　曰、巍巍、富貴高顕之貌、藐焉而不畏之、則志　　意舒展云云、此藐其人乎、又藐勢位乎、未分　　暁、而吾以為決非藐其人、必藐勢位者、　　及後読陸山金台紀聞劉司直之言、断信藐　　其勢位矣、而如人雖賤、道所存也、焉得藐　　之哉、而況有爵者乎、

●大人云々。孟子尽心篇に見ゆ。大人は高貴の人、藐は軽んずるの意。 ●陸山。明の陸深、弘治の進士、山と号す、文章に長ず。

上　巻	訳者註
●　　　　　　　　　かろ九五　孟子曰く、大人に説けば則ち之を藐んぜよ、其　　ぎゝ　の巍巍然たるを視る勿れと。註に曰く、巍巍は富貴　　　　　　　　かろ　高顕の貌なり、藐んじて而て之を畏れざれば、則ち　　　じよてん　　　　　　　　　かろ　志意舒展す云々と。これ其人を藐んずるや、又た勢　　　かろ　位を藐んずるや、未だ分暁ならず。而も吾れ以て決　　　　　　　かろ　　　　　　　　　　　　　かろ　して其の人を藐んずるにあらず、必ず勢位を藐んず　　　　　　　　 ●りくげんざん　る者と為せり。後陸山の金台紀聞の劉司直の言を　　　　　　　　　　　　　　　　かろ　読むに及びて、断じて其の勢位を藐んずることを信　　　　　　　　　　　いや　ぜり。而て人の如きは賤しと雖も、道の存する所な　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しやく　り、焉んぞ之を藐んずるを得んや。而も況や爵ある　者をや。　　孟子曰、説大人則藐之、勿視其巍巍然、註　　曰、巍巍、富貴高顕之貌、藐焉而不畏之、則志　　意舒展云云、此藐其人乎、又藐勢位乎、未分　　暁、而吾以為決非藐其人、必藐勢位者、　　及後読陸山金台紀聞劉司直之言、断信藐　　其勢位矣、而如人雖賤、道所存也、焉得藐　　之哉、而況有爵者乎、	●大人云々。孟子尽心篇に見ゆ。大人は高貴の人、藐は軽んずるの意。 ●陸山。明の陸深、弘治の進士、山と号す、文章に長ず。

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