●せつくわ ●しやう
九六 説卦に曰く、山沢気を通ずと。象に曰く、山上
たく かん
沢あるは咸、君子虚を以て人に受くと。それ山は、
いたゞき とほ
実物にして虚にあらざるなり。而も沢気其の頂に徹
じじゆん
れば、草木滋潤生育す。是れに由て之を観れば、則
ち特に虚、虚たるのみならず、実物と雖も皆虚なり。
故に君子其の象を観て、心太虚に帰し、以て天下の
い
善を容るれば、則ち天下の善、皆我が有と為る、豈
大ならずや。
説卦曰、山沢通気、象曰、山上有沢咸、君子以
虚受人、夫山也者、実物而非虚也、而沢気徹其
頂、草木滋潤生育焉、由是観之、則不特虚為
虚、雖実物皆虚也、故君子観其象、心帰乎太
虚、以容天下之善、則天下之善、皆為我有、
豈不亦大乎、
● せういどう とうそ
九七 文字の小異同を争ふものは、実に同穴の闘鼠な
たひら
り。然り而て経世の大要に於ては、則ち心平かにし
べん
て以て弁ぜざるべからざるなり。
争文字之小異同者、実同穴之闘鼠也、然而於経
世之大要、則平心不可以不弁也、
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●説卦。易の卦
を説く、十翼の
一。
●象に曰く云々。
象は易の卦象を
釈する辞。艮下
兌上を咸の卦と
いふ、上は沢、
下は山なり、沢
に虚の象あり。
●九十二項に云
ふ。章句訓詁の
陋とは是れなり。
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