●ちん れつ ●かこう
一〇〇 陳子平勉学の詩に、烈女夏侯氏の事を咏じて
じ び
曰く、「刀を引きて耳鼻を断つ、義を見て刀を見ず」
と。義を見て刀を見ずの五字は、男子たる者は、宜
しく常に目之に在るべし。常に目之に在らずして、
●ゆう\/きよど ●りたい
似て悠悠虚度すれば、則ち忠孝の大変に当り、李泰
はく ゑん
伯の袁州州学記の責むる所の如く、之に死せんこと
のこ
甚だ難し。然らば則ち醜名を世に遺して、而て女子
し
の烈たるに如かざるなり。後世の学者、或は詩酒風
あるひ いういつ ふけ
流に流れ、或は財貨游佚に耽り、而て義を知らざる
者多し。故に誹議を顧みず、以て同学の人に告ぐ。
陳子平勉学詩、咏烈女夏侯氏之事曰、「引刀断
耳鼻見義不見刀、」見義不見刀之五字、為
男子者、宜常目在之、不常目在之、以悠悠虚
度、則当忠孝之大変、如李泰伯袁州州学記所
責、死之也甚難矣、然則遺醜名於世、而不如
女子之為烈也、後世学者、或流于詩酒風流、或
耽于財貨游佚、而不知義者多矣、故不顧誹
議、以告同学之人、
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●陳子平。元の
陳謙、字は子平、
詩文を善くす。
●夏侯氏。曹文
叔の妻、小学の
善行篇に見ゆ。
●悠々虚度。ぶ
ら\/と月日を
虚しく過す。
●李泰伯。宋の
李覯、其の記文、
文章軌範に載る。
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