山田準『洗心洞箚記』(本文)82 Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.10.20

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『洗心洞箚記』 (本文)

その82

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

              しうてい 一〇四 諸儒に史論あり、而て周程陽明先生等、史論         まれ  に及ぶこと亦た罕なり、何ぞや。夫れ古今の英雄豪              傑は、多く情欲上より做し来る。情欲上より做し来  れば、則ち驚天動地の大功業と雖も、要するに夢中   ぎりやう  の伎倆のみ。夢の是非を評するは、明道君子の言ふ  を欲せざる所にして、これ史論の亦た罕なる所以な  るか。故に周程陽明先生は、終日言ふ所論ずる所、           ろかう          こんむ  惟だ英雄豪傑より閭巷の愚夫婦に至るまでの昏夢を くわんせい  喚醒するのみ。其の書を読まば、其の苦心諸儒の史  論より甚しきを見るべきなり。   諸儒有史論、而周程陽明先生等、及史論亦罕   焉、何也、夫古今之英雄豪傑、多従情欲上做来、   雖情欲上做来、則驚天動地之大功業、要夢   中之伎倆而已、評夢之是非、明道君子之所   欲言、而是所以史論之亦罕也歟、故周程陽明   先生終日所言所論、惟喚醒自英雄豪傑閭   巷愚夫婦之昏夢而已耳、読其書、可其苦   心甚乎諸儒之史論也、                      すんてつ 一〇五 良知を致すの三字は、其れ人を殺すの寸鉄  か。   致良知三字、其殺人之寸鉄矣乎、


周は周渓、
程は程明道、程
伊川を云ふ。





伎倆。手なみ、
技術。





昏夢。迷へる
行動。



























短かい刃物。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その81/その83

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