● めと けい の
一一六 舜が告げずして娶る等の義は、経に載する所
いうよく
と雖も、初学及び有欲の輩、之を講ぜずして可なり。
か
恐らくは之を仮つて身を誤る者あらん。然れども、
心太虚に帰すれば、則ち非常の事皆亦た道なるを知
さまた
る、故に妨けず。
舜不告娶等之義、雖経所載、初学及有欲之輩、
不講之而可也、恐有仮之誤身者、然心帰乎
太虚、則知非常之事皆亦道也、故不妨、
●り しやう うらな
一一七 履を視て祥を考ふと、これ豈占はずして其の
吉凶を断ずるにあらざらんや。故に人吉凶を知らん
●きぜい
と欲すれば、則ち之を亀筮に問はずして、而て之を
かつ ふ
良知に問うて可なり。良知は曾て履む所の是非邪正
●まん
を瞞する能はず。
視履考祥、此豈非不占而断其吉凶乎、故人
欲知吉凶、則不問之亀筮、而問之良知可
也、良知不能瞞曾所之是非邪正乎、
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●舜が父母の許
しを請はずして
娶りしこと、孟
子万章篇に見ゆ。
●祥は吉祥なり、
行履を視て吉凶
を考へる。易の
履の卦上九の爻
辞に見ゆ。
●亀筮。亀の甲
と、筮竹とを以
てする占ひ。
●瞞。瞞看、ご
まかす。
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