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一二十 呂新吾先生曰く、「上に在る者は過ちなし、
下に在る者は過ち多し。上に在る者の過ちなきにあ
らず、過ちあれども而も人敢て言ふ莫し。下に在る
●し
者に過ち多きにあらず、之を誣ふるも人敢て弁ずる
莫し」と。吾れ意ふ、下に在る者過ち多きにあらず、
而も猶誣ひらるるかくの如し。况や真に過悪あらば
則ち必ず免れず。故に下に在るの君子は、心を尽し
む か
て以て無過の地に立たざるべからざるなり。
呂新吾先生曰、「在 上者無 過、在 下者多 過、
非 在 上者之無 過、有 過而人莫 敢言 、在 下者
非 多 過、誣 之而人莫 敢弁 、吾意在 下者、非
多 過、而猶見 誣如 此、况真有 過悪 則必不 免
矣、故在 下君子、不 可 不 尽 心以立 無過之地
也、
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●呂新吾。明末
の学者、呂坤の
こと、新吾先生
といふ、呻吟語
二巻を著はす、
躬行実践を主と
す。
●誣。しひ、無
理に罪に落す。
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