●くわうたうあん ●りしふし ぜんし
一二五 黄陶菴曰く、「李習之一禅師に問ふ、如何か、
こくふう たゞよ ● こく お
是れ黒風船を吹いて瓢つて羅刹鬼国に堕つるかと。
し りかう
師云ふ、李 小子、此れを問うて何をかなすと。李
あら
恕つて、色に形はる。師笑うて曰く、此の悪心を発
お とゝの
す、即ちこれ瓢つて鬼国に堕つるなりと。心を調ふ
●げん
るの難きかくの如しと云ふ」と。それ文字の儒、玄
ご ●ふ と ぐらう まい\/
悟の浮屠に愚弄せらる、毎毎かくの如し。儒者真に
しんどく かれ
学庸の慎独を看破し、以て工夫を下さば、則ち他の
おのづか ●もくだつ
法術皆其の中に存す。而て老仏自ら我に黙奪せられ
しか ● し い
ん。否らざれば則ち二氏却て高く儒者思為の上に出
こゝ
づ。陶菴の意抑々亦た茲に在るか。
黄陶菴曰、「李習之問 一禅師 、如何是黒風吹
船瓢堕 羅刹鬼国 、師云、李 小子、問 此何為、
李恕形 於色 、師笑曰、発 此悪心 、即是瓢堕 鬼
国 也、調 心之難如 此云、夫文字之儒、愚 弄乎
玄悟之浮屠 毎毎如 此、儒者真看 破学庸之慎独 、
以下 工夫 、則他法術皆存 於其中 、而老仏自黙
奪乎我 矣、否則二氏却高出 于儒者思為之上 、
陶菴之意、抑亦在 於茲 歟、
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●黄陶菴。明末
の進士、名は
燿、陶菴と号す、
節に殉す、陶菴
文集あり。
●李習之。唐の
李 、字は習之、
文を韓愈に学ぶ。
●羅刹。人を食
ふといふ悪鬼の
名。
●玄悟。幽玄の
悟。
●浮屠。仏。
●黙奪。知らぬ
間に我教法中に
入る。
●二氏。老仏。
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