山田準『洗心洞箚記』(本文)99 Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.11.12

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『洗心洞箚記』 (本文)

その99

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

   くわうたうあん    りしふし   ぜんし 一二五 黄陶菴曰く、「李習之一禅師に問ふ、如何か、    こくふう     たゞよ     こく  お  是れ黒風船を吹いて瓢つて羅刹鬼国に堕つるかと。   し       りかう  師云ふ、李小子、此れを問うて何をかなすと。李        あら  恕つて、色に形はる。師笑うて曰く、此の悪心を発                      とゝの  す、即ちこれ瓢つて鬼国に堕つるなりと。心を調ふ                        げん  るの難きかくの如しと云ふ」と。それ文字の儒、玄   ふ と   ぐらう    まい\/  悟の浮屠に愚弄せらる、毎毎かくの如し。儒者真に     しんどく                かれ  学庸の慎独を看破し、以て工夫を下さば、則ち他の                おのづか  もくだつ  法術皆其の中に存す。而て老仏自ら我に黙奪せられ    しか              し い  ん。否らざれば則ち二氏却て高く儒者思為の上に出            こゝ  づ。陶菴の意抑々亦た茲に在るか。   黄陶菴曰、「李習之問一禅師、如何是黒風吹   船瓢堕羅刹鬼国、師云、李小子、問此何為、   李恕形於色、師笑曰、発此悪心、即是瓢堕鬼   国也、調心之難如此云、夫文字之儒、愚弄乎   玄悟之浮屠毎毎如此、儒者真看破学庸之慎独、   以下工夫、則他法術皆存於其中、而老仏自黙   奪乎我矣、否則二氏却高出于儒者思為之上、   陶菴之意、抑亦在於茲歟、

黄陶菴。明末
の進士、名は
燿、陶菴と号す、
節に殉す、陶菴
文集あり。

李習之。唐の
李、字は習之、
文を韓愈に学ぶ。


羅刹。人を食
ふといふ悪鬼の
名。

玄悟。幽玄の
悟。

浮屠。仏。

黙奪。知らぬ
間に我教法中に
入る。

二氏。老仏。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その98/その100

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