Я[大塩の乱 資料館]Я
2001.4.20

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大塩の乱関係論文集目次


「大 塩 平 八 郎」
その5

『異説日本史 第6巻』雄山閣 1932 より


◇禁転載◇

  五 二つの評語

 大塩平八郎の乱は、社会主義色彩を多分にもつてゐるため、彼の学風と共に後世までとかくの関心を注がれてゐる。吾人は、こゝには二つの短評を抄しておかう。一つは森鴎外の『大塩平八郎』の附録に見える言葉である。

また、 今一つは、佐野学の『日本史』の評語である。

 陽明学は極端な唯心論で、知行合一といふ実践的教理に立つてゐる。知識と行動との実践的統一、知は行の始であつて行は知の成であるといふ理想、この陽明学の根本的教理が、平八郎の堅い信念であつた。この理想に基づいて彼は叛乱を起した。今日からすれば些も恐しくもないが、時代を見ねばならぬ。当時にすればこの哲学から『恐ろしい社会主義』(鴎外)が生れた訳ではなかつたか。


森鴎外「大塩平八郎」その16


(異説日本史)「大塩平八郎」目次その4その6

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