Я[大塩の乱 資料館]Я
2013.11.2

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』

その65

香川蓬洲

精華堂書店 1912

◇禁転載◇

第十三席 (3)

管理人註
   

   わつち ちう  『私は忠ツてんで』  『ナニ』  『忠ツてんで』  『忠天とは是れもまた妙な名だな』  『エヘゝゝ旦那様、其男は忠五郎と申しますので』  『ウム忠五郎か』  『ヘイ忠ツてんで』  『アハ関東生れと見えるな』                                ○ ○ ○  『江戸から一月ばかり前に来て、まだ間のねへ江戸ツ児のちやき/\ で』                         わし  『イヤ面白い男ぢや、トキニ次郎兵衛、実は今度私は、日の本の神の 教へを人民に示さんが為めに、一ツの書物を刊行するのぢや、併し其彫刻   わし は、我の屋敷でして貰はねばならぬから、河内屋喜兵衛へ相談をして、お 前達に来てもらつたのぢや、就ては至急を要するので、版下書は二枚用意 がしてあるによつて、四人の者に手を分けて彫らせて呉れるやうに、併し                        うち 彫上げてから摺る者もなければならぬが、お前方の中に、摺りの方も手馴            ど う れて居る者はあるか。如何ぢやな』  『ヘイ大抵此者等は、彫りも摺りもいたしまする』  『夫れは重畳ぢや、早く摺上げて呉れゝば、手間賃の外に褒美として           つもり 金子を遣はすから、其心算で精を出して呉れい』  職人等はぺこ/\と頭を下げまして。        かしこ  『ヘイヘイ畏まりましてございます』  『夫れにモウ一ツ申して置くのは、此彫を済ませ、入用の紙数だけ、 すつかり                          やしき    すん 悉皆摺上げた上でないと、お前方一人も宅へ帰る事は勿論、此邸宅を一寸                 も外へ出さないから左様承知をして貰ひたい』  と云ふと、職人等は顔を見合せ。  芳『親方々々』  と次郎兵衛の袂を曳いて。  『弁当を持つて来る奴に、用があつたら云つて遣る分にやア、差支は ありますまいか』  『そんな事は搆ふまいと思ふ』  『イヤ/\夫れは搆はぬやうなものぢやが、お前達の宅から来ても、 逢はせて居ては夫れだけ手間が掛るから、弁当を持たせて寄越さぬやうに、 今河内屋喜兵衛の方まで申して遣はしたのぢや』  是を聞いた次郎兵衛は驚いた。


石崎東国
『大塩平八郎伝』
その109


『大塩平八郎』目次/その64/その66

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