Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.20/10.25最新

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その13

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

三幕目 大坂城内の場 (5)

管理人註
  

平八郎 先達て某御願ひ申奉りし欠所金五万両、まつた難波蔵納り米借用    の義、如何相成升た、承り度う存じ升る 伊賀守 其義、只ならぬ願ひなれば、山城殿とも談合致したる所、欠所金    は格別、御蔵屋敷の囲ひ米の義は、鎌倉殿へ伺ひの上とある故、未    だ返答致し難し 平八郎 御尤には候へども、年々続く凶作故、民百姓が餓への有様、最早    半月一月も此儘に置く時は、大半餓へ死せんは必定、何卒下民お助    けの為、欠所金、納り米拝借の義をば 伊賀守 愚かなり平八郎、当国中の貧家の者に施行致すに、五万や十万両    の金子では、何のたしやくまつたお蔵米を取る出しなば、万一逆意    の者ある時は、何を以て籠城致すぞ 平八郎 サア其義は 伊賀守 アヽ聞へた、施行に事寄せ、お蔵米を奪取り、逆意を企て、兵糧    攻めに致さん工みか 平八郎 イヤ 全く以て 伊賀守 ヤア、主家に敵対、人非人、意見の為めカウ/\/\  〔ト 扇にて打つ 平八郎 ヤア身に覚へなき無体の難題、逆意ありとは証拠が厶るか 伊賀守 証拠は汝が胸にあるはさ 平八郎 何と御意被成るゝぞ、 伊賀守 大塩平八郎、鎌倉殿の上意 平八郎 ハアヽ 伊賀守 汝が願、心得難し、右評議の内閉門申附る間、急度蟄して御沙汰    を待て 平八郎 ハアヽ、閉門承知仕つて厶り升る 伊賀守 ヲヽ神妙なる其詞立て/\ 平八郎 イヽヤ此場は立申さぬ、閉門承知仕れども、願出たる拙者が一條、    有無の御返答聞切て退出致す 伊賀守 ヤア、有無の返答いつて聞さう○借用の義は罷成らん 平八郎 左様あつては、下万民、餓へ死致すは今目前 伊賀守 天のひ是非に及ばぬ 平八郎 スリヤ、どの様にお願ひ申ても 伊賀守 くどい 平八郎 伊賀守様  〔ト 立かゝると 伊賀守 無礼者めが  〔ト 扇にて叩くと平八郎、下に居るが木の頭 平八郎 こなた様はなア  〔ト と両人宜しく誂らへの相方にて返し

大塩噂聞書」
(摘要)




































厶(ござ)る












































木の頭
(きのかしら)
幕切れの台詞や
動作のきまりに
合わせて打つ拍
子木の最初の音

誂(あつ)ら


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