Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.22

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その15

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

三幕目 大坂城内の場 (7)

管理人註
  

 〔ト 侍、橋掛りより出て    ハアヽ、お女中方、御上使様設けの席へお越しあつて、音曲の御    用意あられ升せうとの仰せで厶り升る 皆 々 委細畏つて厶り升る  〔ト 紀伊守、お次に見惚れて居る、侍這入る 梶五郎 イザ御上使様には設けの席へお越しの義 両 人 願はしう存じ升る○イザ御上使様 紀伊守 是は又けたゝましい、某は跡より参る、女共を伴ひ、両人には先    へ参れ 両 人 ハアヽ○イザ女中達  〔ト 皆々行かける 紀伊守 アヽコリヤ/\、待て/\ 皆 々 御用で厶り升るかな 紀伊守 其次とやらを残し、跡の者は立て/\○ハテ扨立てと申に 皆 々 ハイ  〔ト お次を残し皆々這入る 紀伊守 月と迄見紛ふものは卯の お 次 香り床しき賤か生垣 紀伊守 今を盛りの其方が姿、月とも花とも見紛ふ斗り、ハテしほらしい    卯の花じやなア  〔ト 両人色々あつて お 次 アヽ、申、不束な私風情を、御上使様の悪い事ばつかり 紀伊守 ハテ禄の高下は入らざる遠慮、某が心にさへ随へば お 次 私のお願ひを 紀伊守 聞届けいで何と致さう、サア願ひあらば何なりとも お 次 其私のお願は 紀伊守 剣受取る某が役目、延引致してくれと申か お 次 何とおつしやる 紀伊守 父大塩が言附にて、某へ近附、其延引を願へよとて参つたか、夫    とても其方の心一つ お 次 そりやお心に随ひなば 紀伊守 ハテ猶予致して遣はさう  〔ト 奥の襖を明け、内山見て居て 彦次郎 イヤ延引の義はお願ひ申さぬ  〔ト 紀伊守、恟りして行儀を直し 紀伊守 其方は内山彦次郎、スリヤ勝時丸の短刀をば 彦次郎 一旦いひし詞は金鉄後とも申さず、此席にて○イヤお次殿、勝時    丸の短刀、御上使へお手渡し申と、御父親へ申伝へ下され お 次 心得升た 彦次郎 然し此席にては余りさつきやく、次の間にて差上げ申さん 紀伊守 然らば案内 両 人 先お入りあられ升せう  〔ト 三人、宜しくこなしにて唄になり、此引張り宜しく返し

大塩噂聞書」
(摘要)



厶(ござ)り











































































恟(びつく)り











さつきやく
早却
すみやかなこと


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その14/その16

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