Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.25

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その18

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

三幕目 大坂城内の場 (10)

管理人註
  

  造物 平舞台 向ふ中遠見城の塀外 其傍城の堀の体、所々に杭を建   て、是に縄を引張りある城の北手、鴫野口の心にて、塀の能き所に登   り松あり、道具納る  〔ト 松の木を小楯に、子役吉之助の拵らへにて、頬冠りして口に剣を   くはへ、出て下りかけると跡より子役の三平下り、一寸剣を取合ふて、   前なる堀へ組合なからはまる返し   造物 中遠見折れて、城の遠見宜しく、道具納る  〔ト 五郎兵衛、跡より手代、舟上りの摸様にて向ふより出て来り 五郎兵衛 ヤレ/\汐時が悪い故、とほうもない所へ上げられて困つたの    う 手 代 左様で厶り升 五郎兵衛 マア早ういなうか  〔ト 両人舞台へ来る、堀の内にて音する故、両人小隠れする、堀の内   より吉五郎、三平、剣を取合ひながら出で、色々挑み合ふて、吉五郎、   剣を持て逸散に向ふへ這入る、五郎兵衛、手代、前へ出て、三平が落   したる守袋を拾ひ上げ 五郎兵衛 コリヤ覚へのある弟三平が幼ひ時の守袋、そんなら今のは弟で    あつたか 手 代 モシ何で厶り升る 五郎兵衛 エヽ○  〔ト 突飛ばすと、土産物の土瓶を手代落すが、木の頭 五郎兵衛 恟りするわい  〔ト キザミにて明方の体、烏鶏啼く、日の出になり派手なる唄にて宜   しく幕

大塩噂聞書」
(摘要)























厶(ござ)り
















木の頭
(きのかしら)
幕切れの台詞や
動作のきまりに
合わせて打つ拍
子木の最初の音

恟(びつく)り

キザミ
刻み
拍子木を短い間
隔で連続して打
つこと
 


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