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役人替名
一 宇津木矩之丞 一 古手屋喜助
一 大塩格之助 一 五人組作兵衛
一 杉山三平 一 娘お雪
一 近藤梶五郎 一 祈祷医者吉之助
一 萩原弥四郎 実は幻の吉五郎
一 清水善之丞 本名伊藤伊予之助
一 百姓忠兵衛 一 大塩平八郎
一 下女お律 一 仕出し大勢
一 娘お次 一 四ケ所大勢
一 奥方お勇
造物 平舞台 真中に石の鳥居 此後ろ門の飾附 上下筋塀
下手に茶店 小山屋と書たる暖簾を掛け、都て天満宮門前の飾附け
宮神楽にて幕開く
〔ト 仕出し三四人出て、捨台詞にて這入ると、向ふより三平、読売の
形りにて出て
三 平 アヽモウ、トント草臥た、向ふの床机で一服やらかして行うかい
〔ト 居直る、門の内より梶五郎、紙屑買の拵らへにて出て
梶五郎 ヲヽ、三平ではないか
三 平 梶五郎様
梶五郎 シテ今日はどの辺を徘徊致した
三 平 私はお旦那の言附けにて、今宮、木津、難波、道頓堀から天王寺
村辺を尋ね升たれども、手掛りが厶り升せぬ
梶五郎 某は福島、安治川、曾根崎村迄尋ねても、皆暮相分らぬ
三 平 イヤモウ、大胆不敵な奴で厶り升る、夫に附て、先達て御閉門の
旦那様のお身の其元は、下々の者共施行せんとの思立より起りし事
梶五郎 如何にも様子を聞けば、下々を救はん為、大塩殿が施行被成るゝ
との事、有難い、おろそかに受けるなと取々の噂さ、然るに此程よ
り某を始め、済之助殿、淵次郎殿、格之助殿同道にて、鴻池、三井、
岩城、米平迄も金子調達の義、申入たる所、追て御返答との義
三 平 其義は承つて居れば、屋敷へ帰つてお旦那に談合の上、返答を聞
切て帰らん所存
梶五郎 成程、拙者も同道して、先生の屋敷へ参り、何角の談合
三 平 然らば一所に○
〔ト 行かけて傍りを見廻し、書物を出し
三 平 兼ての一義と
〔ト 投捨る
梶五郎 そんなら読売屋
三 平 てん買殿
梶五郎 サア厶んせ
〔ト 両人向ふへ這入る、門の内より忠兵衛出て
忠兵衛 イヤモウ、何時参詣をしても天神様は賑やかな事じや、夫はさう
と、孫七が話しには、千日前に妙な祈祷をして、どんな病気でも即
座に治す人があるとの事、私も此疝気を治して欲しいものじやが、
明日は尋ねて往て見やう○
〔ト 書物を拾ふて
忠兵衛 何じや、手紙が落てある○
〔ト 披き見て
忠兵衛 コリヤむつかしい手紙じや、百姓づれでは、とんと読めぬが、落
した人に返して進せ度いものじやなア
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「大塩噂聞書」
(摘要)
形(な)り
厶(ござ)り
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