Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.28

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その21

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

四幕目 天満天神前の場 同大塩屋敷の場 千日前法善寺前の場 (3)

管理人註
  

矩之丞 ハヽヽヽうつけた奴もあればあるものじやなア 忠兵衛 どうなる事かと存じており升たに お 次 貴君様のお越し被下升たのは お 律 本に地獄で仏とは此事で厶り升せう 三 人 有難う存じ升る 矩之丞 是は/\お礼、痛入升る  〔ト お次、矩之丞に見惚れて居る 忠兵衛 申、お武家様、最前此手紙を拾ひ升たが、とんと読め升せぬ、一    寸御覧被成ては被下升せぬか  〔ト 矩之丞、取て聞き見て 矩之丞 天より下し候村々者共へ示し是ある文、四海困窮致し、天禄長く    絶へん事は其昔聖人深く天下後世の君、人に臣たる者を誡め置候上    たる人は下民に憐みを加へべきは、是仁政の基なり、爰に二百四五    十年、太平の間に、追々上たる人、奢を極め候故、四海の困窮と相    成候は、是天災なり、因て五穀違作に相成候は、是皆天より警め給    ふ御告げに候へども、一向に心も附ず、町中の金持共、年来諸大名    へ貸附け候利徳の金銀、扶持米を莫大に掠取り、有福に暮らし、田    畑を夥しく所持致し、結搆なる物を喰らひ、妾宅へ入込み、高価の    酒を湯水を呑むも同然の行ひは、何事ぞや、是に因て天下の為と存    じ、此度有悪の者共を誅伐致し、引続いて金持の町人共を誅戮に及    び、金銀米銭、諸蔵に隠し置く俵米を取出し、摂河泉播の困窮の者    へ遣はし候間、大坂騒動起り候へば、早速数里を厭はず、一刻も早    く馳参るべく候、其内器量才力の者は夫々に取立、無道を征伐の軍    役に取立、無仁共を亡し、寛政大度の御代と致候、我々が誠心、疑    はしく思候はゝ、所業終るの日を、汝等眼を開いて顧みよ、但し此    書、小前の者共へは、道場坊主、或は医者等の者、篤と読聞せよ、    若し庄屋年寄、眼前の禍を恐れ、此文隠し置くに於ては、追て其罪    を行ふべき者也、天保八丁酉年月日、摂河泉播村々庄屋年寄百姓、    并に小前百姓の者共へ○コリヤ是師匠の手に能う似てある○イヤ此    落し文、暫時御預け被下まいか 忠兵衛 そりや私が持ており升たとて仕様のないもので厶り升、左様なれ    ば、御浪人様 矩之丞・忠兵衛 是にてお別れ申升る  〔ト 下手へ這入る   矩之丞 誠に是は師匠の手跡、貧民を救ふ其心は、反逆の企て お 次 迚も女子に生れたからは お 律 どうぞ彼方を聟様に 矩之丞 御諫言申上げ お 次 お願ひ申た其上で 矩之丞 お聞入れなき其時は お 律 私もしつかり帯締て 矩之丞 たつた一討 お 次 貴君を お 律 エ 矩之丞 アイヤ○  〔ト 木の頭 矩之丞 お別れ申  〔ト 三人、宜しく返し

大塩噂聞書」
(摘要)




厶(ござ)り

















大塩檄文


















有悪
「有志」
が正しい

























































木の頭
(きのかしら)
幕切れの台詞や
動作のきまりに
合わせて打つ拍
子木の最初の音


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