Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.29

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その22

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

四幕目 天満天神前の場 同大塩屋敷の場 千日前法善寺前の場 (4)

管理人註
  

  造物 二重襖、通り 石摺の唐紙   上手 障子 家体 下手 屋敷塀   例の所 切戸 都て大塩屋敷の体 誂らへの相方にて道具納る  〔ト 五人組の組頭、跡より両人、酒肴を持て出る 作兵衛 御免被成て被下升せ 三 平 何方様で厶り升るな  〔ト 出る 作兵衛 ヘイ、私めは天満池田町の五人組の者で厶り升るが、先達て御恩    に預り升たお礼に、玄関よりは如何と存じ、お庭口より参り升て厶    り升る、誠に麁品では厶り升るが、御受納被下升せうなれば、有難    う厶り升る 三 平 是は/\御丁寧に御進物只今旦那様には御他行の事なれば、お預    り申置くで厶り升せう 作兵衛 夫れは有難う存じ升る、旦那様へ宜しくお執成、お願ひ申上升る  〔ト 三人這入る 三 平 イヤモウ、旦那様へ方々よりの御進物、断りいふのもほつとする    わい  〔ト 向ふより喜助出て 喜 助 ヘイ御免被成下升せ 三 平 ヲヽ喜助殿、能う厶り升た、マア莨でも呑ましやれ 喜 助 ヘイ/\有難う厶り升る○扨三平様、思ひがけない旦那様の此度    のお身の上、一度お見舞申上る筈では厶り升るか 三 平 今日は内々の御用があつて、お忍びにて御他行になつたが用があ    らば、暫く待つたがよい 喜 助 ヘイ、此間はお律殿がお出被成て、何やら御用が厶るとの事故、    参り升たが 三 平 其御用は旦那様が御所持被成る洗心洞の書物、又茶器等を売払ひ    度い様におつしやつて厶つたが、大方其事でなあらうわい 喜 助 其洗心洞といふ書物は、旦那様が大切に被成て厶る品では厶り升   せぬが 三 平 ヲヽさ、旦那の身にも代へぬ書物じやが、余り困窮の者が多いか    ら、施行しておやり被成るゝのさ 喜 助 是は御仁心な旦那様、下々の為には神様同然じや 三 平 まだ外に御用もある様にいふて厶つた故、奥様に承はるがよい 喜 助 どうぞお取次をお頼み申升る  〔ト 両人奥へ這入る、向ふより平八郎、網笠を着て出て 平八郎 只今立帰つたぞよ  〔ト奥よりお勇出て お 勇 是は/\旦那様、お帰りで厶り升るか、お忍ひの御他行なれば、    定めて慵く思召升るで厶り升せう 平八郎 イヤ斯くいふ身の上は浪人同然、何も屈托とてはなし、却つて保    養になるといふものさ、ハヽヽ お 勇 おつしやれば左様な物で厶り升る○先達て呼に遣はされ升たる古    手屋喜助が参つており升る 平八郎 夫は幸ひ其方は奥へ参り、喜助を是へと申せ お 勇 畏り升た 平八郎 何者も此所へは無用と申せ お 勇 ハアヽ 平八郎 律に酒肴を持参致させよ お 勇 畏り升て厶り升る

大塩噂聞書」
(摘要)



誂(あつ)らへ





厶(ござ)り
















































































慵(ものう)く


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