Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.10

玄関へ

「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その3

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

二幕目 九條村十作内の場  和州黒闇峠の場 (1)

管理人註
  

     役人替名   一 馬士鹿蔵   一 女房お慶     実は若党三平 一 宇津木矩之丞   一 庄屋五郎作  一 幻の吉五郎   一 馬士八八   一 百姓大勢   一 娘お菊      竹本連中   造物 三重襖、通り、押入、納戸口、赤壁   上手障子家体 下手世話塀   例の所、門口舞台に、お慶、針仕事をなし、お菊、糸をつけいで居る   誂への唄にて幕開く       お 菊 申、姉さん、ちつと休ましやんせぬかいなア お 慶 イヤ、私よりは其方がちつと休んだがよい、余所の娘達は、今日    は節句じやといふて遊ぶのに、其方は其様に精出して、又疲れが出    では悪いわいのう お 菊 イエ/\、私は仕事を仕掛たら片附て仕舞はねは気が済ま ぬわい    なア、さうして兄さんは何時頃戻らしやんすであらうなア お 慶 さいのう、四五日の旅じやといふて、行かしやんしたが、何ぞ叶    はぬ用が出来た故、此様に隙が入るのであらうわいのう  〔ト 向ふより五郎作出て 五郎作 姉御、内にか お 慶 ヲヽお庄屋様、マアお這入り被成て被下升せ、妹、お茶上升てた    もや お 菊 ハイ/\ 五郎作 時に十作殿はまだ帰らずかや お 慶 サア何で此様に遅い事じやと案じており升るわいなア 五郎作 行かれてモウ七日斗り、今に帰らぬとは不思議な事じやのう、イ    ヤモウ此間の八坂のかたりの浪人者が此九條辺を彷徨との事、搦捕    て差出せとのお代官より仰せ、コレ帰り次第来る様にいふて下され    や お 慶 ハイ/\畏り升た 五郎作 ヲヽお菊坊、美しうなつたのう、是ではこちの忰の嫁に貰はにや    ならぬわいのう お 慶 ハイ/\、どうぞ貰ふて被下升せ、よい嫁御さんで厶り升せう、    ホヽヽヽ 五郎作 先是で嫁御の約束は出来たといふもの、そんなら姉御 お 慶 能う厶り升た○  〔ト 五郎作、向ふへ這入る お 慶 八坂のかたりとあるからは、噂のあつた幻の お 菊 姉さん、何ぞ心掛りな事じや厶んせぬかへ お 慶 イヤ其様な事じやないわいのう  〔ト 向ふより鹿蔵出て来り、直ぐに居直り 鹿 蔵 姉御、内にでごんすか お 慶 オヽ鹿蔵さん、マア一服しやしやんせ 鹿 蔵 イヤ姉御、搆ふて被下るな、まだ十作は戻らずか お 慶 今に帰りがない故、案事て居るわいなア○さうして鹿蔵さん、何    ぞ用でも厶んしてかへ 鹿 蔵 サア毎日斯うして足を運ぶも妹の話し、今日は是非共埒明けて貰    うと思ふて お 慶 サア何をいふても縁斗りは姉の儘にもならぬもの、然し今日は返    事をするわいなア お 菊 アヽモシ姉さん、滅多な事を お 慶 是はしたり、姉が悪うはせぬ程に、マア落着て居やいのう○夫に    附ても色々とお前に談しもある程に、マア奥へ往て寛りと 鹿 蔵 成程妹の居る所で談しを聞くもあぢなもの、そんなら姉御 お 慶 鹿蔵さん 鹿 蔵 ドレ返事をは聞うかい  〔ト 両人奥へ這入る、向ふより八八出て門口へ来て

大塩噂聞書」
(摘要)

















誂(あつ)らへ


























































厶(ござ)る


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その2/その4

「大塩の乱関係論文集」目次

玄関へ