Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.10

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その34

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

六幕目 平山助次郎変心の場 東町奉行所の場 天満大塩平八郎居間の場 今橋鴻池焼討の場 (3)

管理人註
  

平八郎 ハヽヽヽ、世俗の噂を誠と思ひ、謂れざる諫言、今治世に至つて、    おのが権威をし被下升せう以て私慾を貪り、下万民の愁を搆はず、    政事行届かざる故の此愁ひ、見るに忍びず施行致すを、侫人め等が    嫉み言、大塩が胃の腑には、逆意のあるべき謂れはない 矩之丞 スリヤ、どうあつても本心は 平八郎 深山木の其梢とは見へさりし、桜は花に顕はれにけり  〔ト 奥に這入る 矩之丞 底意を明かさぬ師匠の魂、イザ此上は、ソレ  〔ト 奥へ行かけるを三平止めて 三 平 アイヤ、暫くお待被下升せう 矩之丞 身共を止めし其方は○ヤヽ其方は日外黒闇山にて出会し馬士なら    ずや 三 平 如何にも其節馬士となつたは、主人よりの内意を受け、盗賊詮議    の隠し目附け、誠は家来の三平と申者 矩之丞 其又そちが何故身共を 三 平 お止め申は御主人をお討被成るゝお心で厶り升せうがな 矩之丞 如何にも下民を救うとは偽り、誠は亡主の恨みをば、晴さん兼て    の大望故 三 平 イヤ、手前主人に於升ては、大望抔とは思ひも寄らず、救民施行    の心より外に念なき証拠には、家にも身にも替へ難き洗心洞の書物    迄、売払ひたる此度の御施行 矩之丞 三平とやら、是を見やれ  〔ト 前幕の捨文を出す、三平披き見て 三 平 ヤヽ、コリヤ是、兼てしつらひし此捨文が、どうして貴君の 矩之丞 夫程慥な証拠があるに、まだ平八をかばひおるか 三 平 サア夫は 矩之丞 但し外に言訳あるか 両 人 サア/\/\ 矩之丞 イデ踏込んで 三 平 先々お待被下升せ、斯く証拠の出る上は、所詮遁れぬ主人の命、    如何にも貴君に討たせ升せう 矩之丞 ヲヽ流石は三平、よき観念、シテ平八が居所は 三 平 此広庭より飛石伝ひの乾の小座敷、大方今頃御寝なつてお出被成    で厶り升せう 矩之丞 夫ぞ幸ひ、是より直ぐに 三 平 片時も早う 矩之丞 ヲヽ○合点だ  〔ト 両人宜しく此道具返し

大塩噂聞書」
(摘要)






























厶(ござ)り


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その33/その35

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