Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.13

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その37

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

六幕目 平山助次郎変心の場 東町奉行所の場 天満大塩平八郎居間の場 今橋鴻池焼討の場 (6)

管理人註
  

  造物 高二重 襖通り 床の間 違棚 張交の唐紙 丸太柱 本椽附   大和葺 前側障子 落間 奥深に築山の体 例の所切戸   上手に柴垣 手水鉢 所々に植木 都て亭座敷の体 本釣にて道具納   る 浄るり 忍び入る、早暮過て告渡る、初更の鐘もコウ/\と、響をあやな    し、飛石伝ひ忍ひ来りし矩之丞、あたり見廻し三平が、差図は爰と    打点、頭小鮎を覗ふ鷺の足、なんなく入りたる切戸の内、一間を窺    ふ目配り気配り  〔ト 矩之丞、下手より出て、二重の傍へ往て聞耳立て 矩之丞 大塩殿は何れにある、宇津木矩之丞、対面せん 浄るり と呼びければ、こなたの小蔭に格之助、 格之助 ヤア、ぎやう/\しい鎮まり召され 浄るり と声をかけ、小蔭を出る、幸綱手鎗引提げ仁王立、矩之丞、急度    見て 矩之丞 ヤア珍らしい格之助、父大塩に面会致し計らうべき胸あつて参り    し某、命惜しくば退ぞけ/\ 格之助 ヤア存外なるあふれ者、イデ此上は某が手鎗の接伴受けて見よ 矩之丞 何を小癪な 浄るり とふりほどき、行くをやらじと争ふ内、シヤ面倒なと幸綱が、突    てかゝるをかいくゞり、抜合せたる白刃と白刃、双方劣らず挑み合    ふ、小蔭に忍ぶ三平は、コハ何事と飛で出、二人が中へ割て入り、    隔ての垣と身を惜まず、邪魔ひろぐなと突退け蹴退け、剣を削る上    段下段、いらつて打込む格之助が太刀筋、態と受損じ、左の肩先三    四寸、切附けられて倒るゝ宇津木 格之助 寧ろ止めを  〔ト 奥より 平八郎 ヤレ待て忰、早まるな 浄るり と声をかけ、一間の障子引明れば  〔ト 前側の障子を明ると床の間に、白旗に五七の桐の下に、子持筋の   附たるをかけ、此前鎧櫃の上に卯の花威しの鎧、三十二間の筋金打た   る兜を乗せ、幟吹抜き、鉄砲を飾り、真中に平八郎、采配を持ち、高   相引にかゝり居る 浄るり 上段には白旗押立、中央には大塩平八郎、優然として床机にかゝ    り、あたりを白眼し、其有様、威あつて猛き骨柄なり、矩之丞、急    度見て 矩之丞 ヤゝ大塩殿の 三平・矩之丞 此有様は 平八郎 ホヽ不審な尤、某が此出立は、先祖の鬱憤晴さん為、夫は格別矩    之丞、深手を負ひしは合点行かず、三平、宇津木が刀、め見よ 三 平 ハアヽ○ヤヽコリヤ是刃引 平八郎 我推量に違はず、忰が手にかゝらんとて、斯く計らひし矩之丞、    夫でこそ義も立、孝も立道理、遖れ武士

大塩噂聞書」
(摘要)

































接伴
(せっぱん)
人をもてなすこと




























































遖(あつぱ)れ


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その36/その38

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