Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.15

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その39

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

六幕目 平山助次郎変心の場 東町奉行所の場 天満大塩平八郎居間の場 今橋鴻池焼討の場 (8)

管理人註
  

格之助 仮令大軍なればとて、習ひ覚へし火術を以て○ 浄るり 声かけ/\火矢鉄砲、筒先揃へて立向へば 格之助 火術に疎き鎌倉勢○ 浄るり 途を失ふて乱るゝ所を切立て/\、泡吹せん 格之助 其時おくれな、杉山三平 三 平 何さ/\、軍法奥義は知らねども、主人へ忠義の心な金鉄 浄るり 大塩、莞爾と打笑ひ 平八郎 ヲゝ出かす/\、我軍法の図をはづさず、只今よりは忰弓太郎、今川弓太郎義次と    改名させ、浪花の浦の惣大将○ 浄るり 絶て久しき此白旗、きら一天に翻へさせ 平八郎 甲山に陣所を搆へ、鎌倉方の木葉武者○ 浄るり 魚鱗に備へを立寄すれば、我鶴翼の軍配尽し、一度に包んで鏖し 平八郎 瞬く内に今川の、世に翻へさん、心安かれ方々 浄るり と勇立たる折からに、追手の多勢を切立、薙立、一文字に駈け来る若者  〔ト 済之助、捕手を相手に立廻りながら出て 済之助 御注進/\ 浄るり 大音声に呼はれば 平八郎 ヤア、其方は済之助 格之助 子細ぞあらん 三 人 何と/\ 済之助 ハアゝ○ 浄るり さん候、今宵の有様 済之助 兼て一味の工みの如く、明日巡見の折を窺て、堀、跡部、一時に討んと手段の所○ 浄るり 一味の内なる助次郎、返り忠して徒党の人数、願書に認め出訴の平山 済之助 拙者と小泉両人を至急の御用と偽りて○ 浄るり 搦捕らんと立かゝるを、シア面倒なと刀押取り、当るを幸ひこん限り、刀の目釘の    続くだけ、切て/\切りまくり 済之助 残る多勢は小泉に任せ置き、此事注進せん為に○ 浄るり まつしぐらに駈附けたり 済之助 御油断あるな、大塩氏 浄るり 大息ついて物語れば 平八郎 スリヤ平山が変心とな、イデ此上は軍配の用意、ヤア/\三平、狼烟を以て一味を    集め、火術の用意仕れ 三 平 心得升た 浄るり 勇み進んて駈り行く  〔ト どん/\になり 済之助 扨こそ寄手の 矩之丞・格之助 あの物音 矩之丞 此場は拙者にお任かせあれ 浄るり 腹帯確かと 平八郎 イデ出馬の用意/\ 両 人 心得升た 平八郎 両人続け 浄るり 勇立ち奥の間さして駈り入る  〔ト 三人、奥へ這入る

大塩噂聞書」
(摘要)





















鏖(みなごろ)し





薙立
(なぎたて)
勢いよく横に
払うように切
りまくる


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その38/その40

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