Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.17

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その41

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

七幕目 吹田村神主内の場 (1)

管理人註
  

      役人替名   一 宮脇志摩   一 高橋佐左衛門   一 娘お次    一 庄司儀左衛門   一 奥方お勇   一 大塩平八郎   一 忰弓太郎   一 紙屑屋一人   一 下男可助   一 木綿屋一人   一 庄屋杢兵衛  一 捕手大勢   一 八田又兵衛   造物 二重 襖 通り   上手 一間 神前を飾り前へ白絹を掛け、是に吹田大明神と書あり、   此前に荒菰を敷き、三宝に神酒を供へあり、二重の欄間に七五三縄を   張りあり   上手 落間 屋敷塀 鳥居 玉垣   下手 屋敷塀 例の所代官門、是にも七五三縄を張り、都て神主宅の   飾附け、門の柱に宮脇志摩の表札をかけ、上手の平舞台に大きなる石   台に松の木植あり、早き合方早太鼓を打交せたる鳴物にて、道具留る  〔ト 下手より紙屑屋、荷をかつぎ出て来り  紙屑屋 屑は厶い、屑は○  〔ト 内を窺ひ居る、向ふより木綿屋出て来り居直る 紙屑屋 軍八殿 木綿屋 八平殿 紙屑屋 シテ大塩始め妻子の者の手掛りは厶つたか 木綿屋 左ればで厶る、我々斯く姿を扮し、此辺りを徘徊致すも、彼等が    有家を探らん為 紙屑屋 如何にも当家は大塩が伯父で厶れば、日毎に参つて窺ふ所、何で    もかくまいあるに相違は厶らぬ 木綿屋 スリヤ弥々此家の内に 紙屑屋 手前は是より高橋、八田の御両所へお知らせ申せば其許には今一    応白井が宅を窺ひ召れ 木綿屋 如何にも左様仕らん 両 人 お別れ申す 紙屑屋 屑い、屑は厶ざい/\  〔ト 紙屑屋は向ふへ、木綿屋は下手へ這入る、志摩、出て来り、門口   を窺ひ、押入の戸を明ける、内よりお勇、弓太郎の手を捕り、跡より   お次出て来り お勇・お次 伯父様 志 摩 アコレ○静かにさつしやれ、然しながら如何に世を忍ぶ身とは申    ながら、戸棚の住居も嘸窮屈で厶らうのう お 勇 何のマア、勿体ない事おつしやり升せ、日外騒動の砌りより、親    子三人御厄介、如何に縁者とはいひながら、此御恩斗りは死んでも    忘れは 両 人 致し升せぬわいなア 志 摩 是はしたり、又しても其様な事斗り、然し気の毒なは平八郎殿、    下も/\の難義をば救はん為に仕た事なれど、天下の法とて詮議の    厳しさ、然し追々薄らがう程に、先当分足を留めたがよい お 勇 お嬉しい其お詞、夫に附ても、夫には何所にお忍び被成るゝやら お 次 我身の上より父の身の上、お案じ申升るわいなア 志 摩 何の/\、元より発明な平八郎、天下の科人とは申ながら、人の    為に仕た事なれば、其所は天のお恵でも、其身に凶事はない程に、    気を落附て居たがよい○然しながら今の今迄、人も恐れし大塩の お 勇 如何に浮世といひながら お次・志摩 思へば果敢ない 三 人 成行じやなア

大塩噂聞書」
(摘要)


























落間
(おちま)
平土間









厶(ござ)い

















































































果敢(はか)ない


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その40/その42

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