Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.18

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その42

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

七幕目 吹田村神主内の場 (2)

管理人註
  

 〔ト 向ふより可助走り出て来り 可 助 モシ、旦那様、一寸明けて被下升せ、早く/\/\○  〔ト 志摩は両人へき、元の押入へ三人を入れ、戸を締めて門口を明   ける 可 助 大事で厶り升る/\ 志 摩 コレ可助、大事とは何事じや 可 助 何事では厶り升せぬ、白井幸左衛門様の所の仲間が申升るには、    先程大阪の与力高橋佐左衛門といふ人と八田又兵衛と二人が、捕手    を連れて幸左衛門様の屋敷へ押込み、是から吹田村を吟味するとい    ふて居たと申して逃げていに升た、斯うしては居られ升せぬ 志 摩 よし/\、何れ此所へ参るは必定○コリヤ可助、其方は村の出口    で遠見を致せ 可 助 心得升た  〔ト 向ふへ走り這入る 志 摩 お勇殿、弓太郎、お次を連れて、急いで是へ お 勇 畏り升た  〔ト 三人出る 志 摩 委細の様子は聞れたであらう、最早此家には置難し、心当りは伊    丹の粕屋七郎左衛門方へ落すより外はない、兼て申置たる如く、旅    人の拵らへにて、人目に立ぬ様に一人づゝ立退く用意、下拙も跡よ    り追附く程に、何かの用意が肝心で厶るぞや お 勇 誠に斗らざる御心労をかけ升るは、皆我夫の企が無になつたるも、    天運の来らぬ故、お赦るし被成て被下升せ お 次 父上様や兄上様、何所にどうしてお出遊ばすやら、日外お別れ申    たのが永い別れにならうかと、夫が悲しう厶り升るわいなア 志 摩 今更いふても詮なき事、先何よりは落る分別、少とも早う/\  〔ト 向かふより義左衛門走り出て 義左衛門 志摩殿は御在宿か、志摩殿/\ 志 摩 庄司氏には討手の中、如何して厶つたぞ 義左衛門 左れば平八郎殿仰せには、心掛りは妻子の者、迚も助かる例し    なし吹田村へ立越へて、未練残さず刺殺し被下との御仰せ、裏より    裏の抜道を忍び/\て参りし拙者、如何計ひ申さんや 志 摩 如何様勇士の心は左もあらんが、弓太郎といひ、お次といひ、無    残/\、殺すも詮ない事 お 勇 妾は兎も角、二人の子を片附け度い、思案してたべ、お二人様

大塩噂聞書」
(摘要)


(ささや)き


厶(ござ)り


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その41/その43

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