Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.19

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その43

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

七幕目 吹田村神主内の場 (3)

管理人註
  

義左衛門 仮令平八殿の詞無足になすとも、各方のお供して遁るだけ遁れ    て見ん 志 摩 我思案も其通り、先達て書面を以て申通じ置たれば、何卒貴殿、    彼等を伴ひ、伊丹の駅粕屋七郎左衛門方迄落延下され 義左衛門 心得升た、然らばお勇殿、二人の衆 お 勇 今別れては、又いつか 志 摩 長い未来で○逢はうぞよ 義左衛門 サア厶れ  〔ト 四人、下手へ這入る 志 摩 イデ此上は我身の用意、ヲヽ  〔ト 奥へ這入る、向ふより佐左衛門、又兵衛、捕手大勢、庄屋杢兵衛、   先立て出て居直り 佐左衛門 ソレ案内致せ 杢兵衛 ヘイ畏り升た○志摩殿、御吟味の筋あつて、お役人様がお出被成    た、志摩殿/\ 又兵衛 ヤア、家内ひつそと静まりおるは、風を喰つて逃失せしか 佐左衛門 彼を逃さば、我々共が役目の落度 両 人 イデ踏込んで  〔ト 奥にて 志 摩 アイヤ、何れも宮脇志摩、夫へ参つて御面談の仕らん  〔ト 出て来る 佐左衛門 此度大塩平八郎義、大阪市中を動乱させ、天下の役人へ敵対致    せし大罪人、然る所、先刻隠目附けの注進には、汝が宅に平八が妻    子の者共かくまいあるよし 又兵衛 速かに渡せばよし異議に及ばゞ用捨はならず 佐左衛門 遁れぬ所と諦めて 又兵衛 きり/\彼等を 佐左衛門・又兵衛 渡して仕舞へ 志 摩 是は/\、何事のお尋ねかと存じ升れば、此度の義に附て、伯父    甥の間故、平八郎が妻子の者をかくまいあらんとの御詮議、御尤に    は厶れども、斯く神職を勤むる某、神へ恐れ、左様な罪人、家内に    かくまふ筈が厶らぬ、勿体なくも吹田明神を誓に立て、申訳仕る 又兵衛 汝、如何程陳ずる共、上みには吟味致してあるわい 佐左衛門 夫に何ぞや、我々をたばからんとは、にっくき奴 又兵衛 此上は其方に縄ぶつて家捜し仕ても、彼等をば 佐左衛門 搦捕らねばならぬわへ 志 摩 斯くなる上は是非に及ばず、平八が妻子の者をかくまひ申た申訳  〔ト 刀を腹へ突立る

大塩噂聞書」
(摘要)













厶(ござ)れ


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その42/その44

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