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役人替名
一 内山彦次郎 一 下役六兵衛
一 手代久七 一 女房お常
一 娘お駒 一 三好屋五郎兵衛
一 白木屋与三郎 一 大塩平八郎
一 百姓孫助 一 同 格之助
一 孫助娘お松 一 捕手大勢
一 高橋佐左衛門 一 仕出し 三人
一 雇はれのおみさ 竹本連中
一 あるきの権七
造物 二重 襖 通り 押入 納戸口 店 戸棚
下手 世話塀 真中に路次口
上手 高二重 中二階の体
例の所門口 橋掛りに更紗木綿干しあり、納戸の次の壁に注文帳、仕
入大福帳、状差抔かけあり、二重に久七、講中三人居る、鳴物にて幕
開く
久 七 いつもながら講中の貴君様方、御苦労様で厶り升る、何も上げる
物は厶り升せぬが、どうぞ奥へお通り被下升せ
□ さういふ事なら御遠慮なしに奥へ行升せうか
二 人 さう仕升せう
〔ト 三人這入る、橋掛りよりおみさ出て来り
おみさ 申、お内には狐小紋の形は厶り升せぬかへ
久 七 ハイ、狐小紋も色々厶り升るが、爰らではどうで厶り升る
おみさ 本に是がよいわいな、さうして何時頃出来升るへ
久 七 ハい、お天気さへよかつたなら、明後日出来升るで厶り升る
おみさ 紺屋の明後日は久しいものじやが、更紗屋の明後日なれば違ひも
せまいな
久 七 ハテおみささんの事じやもの、やらいで何と致し升せう
おみさ 久七さん、おだてゝ下さんすな、おやかましう
〔ト 下手へ這入る、引違へて、あるき、状箱を持ち出て来り
六兵衛 ハイ、廻文で厶り升る
久 七 ヲヽ六兵衛殿、何の触じやの
〔ト 箱を明けて見て
久 七 何々、此度大塩平八郎と申者、市中の難渋を助けん為、書物を売
払ひ、施行を言立て、一味をかたらひ、謀叛を工み、市中を焼立て、
乱暴を働き申候、右之者共の人相書、左之通り○
一 大塩平八郎 年齢四十五歳 一 顔長く色白き方
一 目細き方 一 鼻常体 一 耳常体 一 肉中肉
一背高き方○
一 大塩格之助 廿七歳 一 顔短く色白き方 一 背低き方
一 鼻常体 一 眼同
右之両人、見当り次第、所役人迄訴出べく候、若しかきくまい置く
に於ては従類の者迄召捕り、刑罪に行ふ者也、月日○
畏り升たが、此大塩の人相は内の旦那に能う似てある人相書じやな
ア
六兵衛 夫も町人だけで気使ひないといふものじや、ハイ左様なら
〔ト 向ふへ這入る
久 七 世には似た人もあるものじやなア
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「大塩噂聞書」
(摘要)
あるき
(歩き)
庄屋などの雑用
や使い走りに使
われた者
厶(ござ)り
人相書
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