Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.27

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その51

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

大 詰 油懸町三好屋の場 同奥座敷の場 阿波座堀捕物の場 (3)

管理人註
  

与三郎 イヤ何、五郎兵衛殿、内証で聞度い事のあるが、本間の事をいふ    て下さらぬか 五郎兵衛 お年寄様の改まつたお詞、いふてくれとはそりや何を 与三郎 外の事ではない、大塩の有家 五郎兵衛 エ 与三郎 ハテ、爰の内にかくまふてある事は、おりや能く知つて居る、す    つぱりといふて下さらぬか 五郎兵衛 ハヽヽヽ、私の内に大塩殿をかくまふてあるかないかは、私の    詞の濁りでも知れさうなもの、最前信野町の会所にて、当時智者の    聞へある内山彦次郎様が其儘お帰し被成たが、かくまはぬといふ慥    かな証拠で厶り升るわいなア 与三郎 さういへば尤らしいが、どうやら爰らあたりが怪しい様な 五郎兵衛 イヤ是程潔白な事を、怪しいといはつしやるからは、是非がな    い、如何にも大塩殿をかくまい升た 与三郎 ヤア 五郎兵衛 サア、此五郎兵衛がかくまふて居たを、町内のたばねをするお    前の知らなんだは、役の落度、お咎めは同じ牢舎、サア連立て会所    へ参り升せう 与三郎 アヽ五郎兵衛殿、そりや余り短気といふものじや、何のこなたに    そんな事があつてよいものか、一寸心を探つて見たのじや、モウ疑    ひは晴れ升た、祝ひ事は又明日よはばれに来升せう、モウお暇申○  〔ト うろたへて門口へ出て 与三郎 遽た奴じや、気を附けさらせ 浄るり とつかはとして駈り行く、跡には一人五郎兵衛が思案にくれて、    居たりしが、 五郎兵衛 親から御恩の大塩様、かくまひおゝせて又お身に、花咲春をと    思ふたが、今日の会所の様子では、一思案せにはならぬわい 浄るり 諸手を組で思案の所へ、窺ひ来る高橋が 佐左衛門 そりや 捕 手 御上意 五郎兵衛 こりや何と被成升る 佐左衛門 ヤア、何とするとは横道者、大塩平八郎をかくまひ置く事注進    あつて慥に聞く、縄かけて渡せばよし、異議に及はば家捜しせうか 五郎兵衛 ハヽヽヽ、こりやお門違ひ被成升たな、馴染好身もない大塩殿、    何のかくまひ升うぞ 佐左衛門 ヤア、憎い素町人め、そやつめ召捕れ 捕手一 ハアヽ 浄るり 畏つたと両方より、しつかと組を振払ひ、右と左りへづでんどう、    どつこいさうはと、後ろよりかいながら、みにむづと組シヤ、面倒    なと投出す烈しき手並に、組子共暫し躊躇、有様に高橋は気をいら    ち 佐左衛門 御上意承けたる我々に、手向ひ致す素町人め、目に物見せん 浄るり と詰め寄る、こなたに声あつて

大塩噂聞書」
(摘要)




















厶(ござ)り
























遽(あわて)た


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その50/その52

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