Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.28

玄関へ

「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その52

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

大 詰 油懸町三好屋の場 同奥座敷の場 阿波座堀捕物の場 (4)

管理人註
  

 〔ト 内山、深編笠にて聞て居て 彦次郎 ヤレ待う高橋氏、麁忽の挙動、無用/\ 浄るり と声をかけ、内山がしづ/\通る其骨ネ、威あつて猛き武士の顔、    見て恟り 佐左衛門 ヤア、貴殿は内山彦次郎殿 彦次郎 五郎兵衛義は、先刻会所に於て吟味を致し、大塩をかくまひない    事、明白に相知れたり 佐左衛門 イヤ、此家の内に大塩親子かくまひある事、慥なる者、訴人致    せり○ソレ者共、召連れたる訴人の者、引立参れ 捕 手 ハアヽ 浄るり ハツと答へて、あらしこ共、引立出る親子の者、五郎兵衛見るよ    り 五郎兵衛 ヤヽそちや お 松 旦那様、お赦し被成て被下升せ 五郎兵衛 訴人といふはそちであつたか 孫 助 イヤ、訴人したは此平野村の孫助じや、去年の三月から娘をこな    たの内へ奉公におこしたが、おれが病気と啌ついて、娘を呼寄せ委    細を聞けば、こいつは何にも知るまいなれど、人数に合はして飯の    焚様多い所から嗅出して、おれが訴人した、五郎兵衛殿、モウ叶は    ぬ、きり/\白状さつしやり升せ  佐左衛門 何と五郎兵衛、よい訴人であらうがな、サア、言訳あらば申て    見ぬか 五郎兵衛 サア夫は 佐左衛門 かくまひあるに相違はないか 二 人 サア/\/\ 佐左衛門 五郎兵衛殿、返事はドヽどうじや○ソレ家捜し致せ 捕 手 心得升た 彦次郎 ヤア、家捜し呼はり法外千万、脚踏込まば息の根止めん 佐左衛門 ヤア、謀叛人の大塩の詮議致すが、何が法外 彦次郎 謀逆人の大塩を、詮議の役は汝斗りか 佐左衛門 ヤ 彦次郎 跡部公より仰せを承け、大塩詮議の内山彦次郎、サア某を置き踏    込まるゝなら、踏込んでみよ、魁仕られし其代り、汝が首所望致さ    ん 佐左衛門 マヽお待ち下され、只今のは出そこない、真平御用捨被下升せ    う 彦次郎 出そこないとあれば、咎めは致さぬ其方は只今より西口辺を詮議    致しやれ 佐左衛門 何の事だへ、折角取得た大塩の詮議、忌々しい 孫 助 さうして私の御褒美は 彦次郎 ヲヽ、只今くれう、ソレ其奴に縄うて 捕 手 ハアヽ 孫 助 アヽ申々、何で私が縛られ升るので厶り升る 彦次郎 ヤア、うぬが私慾に眼くらみ、不分明なる義を訴ふ不届者、此五    郎兵衛が詮議、相済む迄は獄屋へ入置き、張番申附けい 捕 手 畏つて厶り升る○腕廻はせ  〔ト 孫助に縄かける

大塩噂聞書」
(摘要)





恟(びつく)り













あらしこ
(荒し子・嵐子)
武家の使用人で
雑役に従事した
者










啌(うそ)






















































厶(ござ)り


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その51/その53

「大塩の乱関係論文集」目次

玄関へ