Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.29

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その53

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

大 詰 油懸町三好屋の場 同奥座敷の場 阿波座堀捕物の場 (5)

管理人註
  

お 松 現在娘のお主様を科人に落しても、金が欲しさの此訴人、罸が当    つてお前は牢舎、ひよんな事して下さんしたなア 彦次郎 早く参れ 佐左衛門 エヽ忌々しい○科人立い 捕 手 立う 孫 助 何の事じや 浄るり 大音にむしやくしや腹の立儘に、家来引連れ急ぎ行く、跡打見や    り、五郎兵衛が両手を突て傍へ寄り 五郎兵衛 手詰の難義をお救ひ下され升た大恩、ヘイ/\有難う厶り升る 彦次郎 某に一礼申は、扨は其方平八郎をかくまいおるか 五郎兵衛 エ 彦次郎 イヤ何、五郎兵衛、其方に頼み度義があるが、何と頼まれてはく    れまいか 五郎兵衛 何が御恩の貴君様のお頼み、身に叶ひ升る事ならば 彦次郎 頼みと申は、則是に 浄るり 懐中より取出したる小紋の下絵、五郎兵衛、取て打詠 五郎兵衛 ハテ、コリヤ是更紗の小紋の下絵の彩色入り、一枚は杜若、コ    リヤ是白菊、今一枚は糸桜 彦次郎 三枚三色に変りし小紋、汝が手際ですつぱりと形界の出来ぬ様染    上げてはくれまいか 五郎兵衛 お心あり気な御注文、三色変りし小紋の染は○アヽ扨はみがり 彦次郎 イヤ身が心に入る様に 五郎兵衛 染上るは私が胸に 彦次郎 暫しは奥を無心の内に 五郎兵衛 心得升た 彦次郎 五郎兵衛、案内 五郎兵衛 サア、斯うお越し被成升せう 浄るり いはぬ色なる染摸様、胸に納めて五郎兵衛が、案内に連れて彦次    郎、奥の間さして入にける  〔ト 奥にて お 駒 サア、ちつと来てたもひのう  〔ト お駒、久七の手を引出る 久 七 申々、お駒様、そりや何を被成升る、あんまり阿房に仕て被下升    るな お 駒 これいのう、私が何で阿房に仕たぞいのう 久 七 ようそんな事がいはれる事じやなア、知るまいと思ふてお出被升    せうが、お前様はアノ白子屋の与三郎様の所へ嫁入りを被成るげな、    夫は/\お目出度い、其方とは女夫になつてくらすなぞと欺まして    からに、アノ爰なお好様めが お 駒 私しや何にも知りもせぬのに、誰に其様な事を聞きやつて、又私    を泣かすのかいのう 久 七 ハイ/\、御勝手にお泣き被成升せ

大塩噂聞書」
(摘要)














厶(ござ)り


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その52/その54

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