Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.11.30

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「大塩の乱関係論文集」目次


『演劇脚本大汐噂聞書』
その54

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

大 詰 油懸町三好屋の場 同奥座敷の場 阿波座堀捕物の場 (6)

管理人註
  

 〔ト 上手より五郎兵衛、是を聞て思案をして居る お 駒 夫程迄に疑ふなら、此事をかゝ様にいふて、私の疑ひ晴して貰は    う、待て居や 久 七 滅相な、そんな事をお家様にいふたれば、私がお暇が出升るわい    なア お 駒 そんなら私の疑ひ晴らして、女夫になつてたもるかや 久 七 夫じやといふて、貴嬢様はお主様 お 駒 ハテ、大事ないわいのう 久 七 是は困つた事じやなア  〔ト 五郎兵衛出来り 五郎兵衛 其女夫におれが仕てやらう お 駒 ヤ、お前は爺さん 久 七 ヲヽ旦那様  〔ト 逃けかけるを 五郎兵衛 アヽコレ久七、何も逃げる事はない、叱りはせぬ、今夜娘と    祝言をさして、明日から此三好屋の跡譲程に、不束なやつじやが、    中よう添てやつてくれ お 駒 そんなら今夜、アノ久七と 五郎兵衛 ヲヽ祝言さす 久 七 勿体ない、御主人様のお娘御を唆かしたお叱りもなく、返つて女    夫に被成て被下升とは、有難う厶り升る 五郎兵衛 二人共、夫程に嬉しいか お 駒 嬉しいなうて 両 人 何と致升せう  〔ト 五郎兵衛、久七の顔を見て思入あつて気を替へ 五郎兵衛 コレ久七、内祝言に其形ではあぢなもの○ヲヽ夫々おれが着物    に袴を着けて遖れ婿ぶりを見ねばならぬ、サアおれと一所に奥で用    意を 久 七 左様なれば旦那様 五郎兵衛 久七、おじや  〔ト 二人這入る お 駒 モシかゝさん、早う来て下さんせいなア/\  〔ト 奥より お 常 今行わいなア  〔ト 出来り お 常 今内から聞て居たが、其方は嘸嬉しからうのう お 駒 是が嬉しうなうて、何とせうぞいなア○  〔ト そは/\して鏡台を持来て お 駒 サア、結ふて下さんせ お 常 エヽモウ、世話しない子ではあるわいのう○然し互ひに親の目を    忍び逢ふたる中挿しも お 駒 今日よりしては、爺さんのお許し受けし女夫挿 お 常 互ひに好たすき櫛の、出雲で縁を結び髪、ドレ結直して○やり升    せう  〔ト 両人宜しく返し

大塩噂聞書」
(摘要)








女夫
(めおと)
夫婦





























唆(そそのか)かし

厶(ござ)り













遖(あつぱ)れ
































中挿し
笄(こうがい)


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その53/その55

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