Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.12.1

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その55

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

大 詰 油懸町三好屋の場 同奥座敷の場 阿波座堀捕物の場 (7)

管理人註
  

  造物 二重 襖通り 床の間 違棚 張交の唐紙 上下落間 焼板塀   此前植木 例の所 切戸 都て奥座敷の飾附け   二重に平八郎、鼠の衣、鼠の頭巾にて唐机に位牌を置き、香を焚て居   る、   下手に格之助、同じ形りにて三宝二つの上に九寸五分を乗せて居る、   独吟にて道具留る 平八郎 アヽ、思ひ廻はせば口惜しい我大望、事ならす、身を忍ぶべき手    立を失ひ、無念の月日を送る身の上 格之助 なまなか身を遁れんとて、却て死耻を曝さんより、屑く最期を遂    げん、親人様 平八郎 忰○思へば詮なき世の 二 人 有様じやなア  〔ト 両人、頭巾を取り、格之助、三宝を平八郎の前へ持て行き、一つ   を我前に置き、色々あつて 平八郎 忰、必ず共におくるゝな 格之助 心得升た  〔ト 両人、腹を切らうとする、彦次郎、奥の襖を明けて見て居て 彦次郎 御両所、待つた 平八郎 ヤ貴殿は内山 格之助 彦次郎殿 平八郎 万民の憂ひを重んじ、施行の為に欠所金、御蔵米を拝借の義、聞    入れざる堀、跡部、富家のやからに言入れても、承引なき故、是非    に及ばす、斯く計らひしも、天運尽き、屑く切腹すれは、首は貴殿    へ参らせん、忰、用意 彦次郎 ヤア、血迷ふたか、御両所、貴殿が平八郎、格之助なれば、望ん    で首を取るべきが、三界無庵の出家の首、手ネに致す内山ならず、    迚も運尽き死る身なれば、所持致す勝時丸を、某に手渡し致して、    助命致す所存はなきか、生は難し死は易し、死に急ぎする場所でな    いがや 平八郎 一旦手に入る勝時丸、仁義に否まん様はなし○イザ受取られよ  (ト 腰に差したる刀を渡す 彦次郎 ホヽウ、悪に強きは善にもと、翻へりたる御親子が誠心、感ずる    に余りあり、某が役たる勝時丸の詮議相済む上からは、無縁の僧に    入らざる此品、此内山が暫く預る○  〔ト 両人の九寸五分を取つて 彦次郎 刄物代りの此一品  〔ト 書附を二本投てやる 平八郎 コリヤ是、天就寺より出し往来手形、雷門とは則某 格之助 まつた観永とは拙者が変へ名 彦次郎 御両所共に今日より此手形を所持召れば、日本国中、往来堅固 平八郎 残る方なき御仁誠 格之助 昔に変はる我々は 平八郎 三衣の為に一命を 彦次郎 助かるも是仏の利生 平八郎 世は様々の 三 人 成行じやなア  〔ト 捕手一人出て 捕 手 様子は聞た  〔ト 行かけるを、内山抜打に切る、三人急度なると木の頭、独吟にな   り、返し

大塩噂聞書」
(摘要)
































































否(いな)まん


『演劇脚本大汐噂聞書』目次/その54/その56

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