Я[大塩の乱 資料館]Я
2014.10.13

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『演劇脚本大汐噂聞書』
その6

重扇助

中西貞行 1894

◇禁転載◇

二幕目 九條村十作内の場  和州黒闇峠の場 (4)

管理人註
  

  造物 平舞台 真中に築山の様にして、此上に少さきお宮、   此傍に大なる梅の木、此上みに二間の二重襖、通り、小模様の唐紙   前側障子 下の方九尺の二重小座敷の飾附け    舞台真中に切戸 紅白梅の釣枝 都て奥庭の模様   尤両家体共藁家根 時の鐘三重にて道具納る 浄るり 窺ひ居る人なき時を幸ひと、うろ/\来たる庄屋の五郎作 五郎作 爰の内がきぶさいな故、いんだ振りして聞て居たが、何でもあい    つが吉五郎に相違ない、夫も証拠がなければ、いはれもせず、ハテ    どうしたものであらうなア 浄るり 小首傾け思案顔、こなたの小蔭にきよろ/\と出て来る八八、同    腹中 八 八 ヲイ/\庄屋殿○ヲイ庄屋殿 五郎作 ヲヽ八八か、静かにせい 八 八 爰が怪しいと、此間から気を附けて居るが、あの最前の浪人めは、    慥に幻 五郎作 コレ大きな声をする奴じや、コリヤ  〔ト  八 八 スリヤ縁の下に忍んで居て 五郎作 篤と実否を糺した上 八 八 代官所へ注進せば 五郎作 褒美の金は 八 八 二つ山じや 五郎作 必らずぬかるな 八 八 合点じや 浄るり 示し合して両人は、又も小蔭へ忍入る、春の日の永き日影も黄昏    に、梅が香慕ふ鶯の啼声も、憐れ法華経の、共に吊らう吉五郎、障    子開いて位牌に向ひ 吉五郎 誠に今日は月こそ替はれ、母者の御命日○栄喜院長久大姉、南無    阿弥陀仏/\ 浄るり 世に亡き母へ、香炉の烟りも細き幻が手向けぞ、いとゞ殊勝なる、    こなたの内にも鹿蔵が、返事を松の板庇、洩れる日影に障子押明け 鹿 蔵 此日差しでは、七つ下り、返事のないは、若しや向ふへ娘の札が    落はせぬか、一寸様子を窺つてやらうわい 浄るり といひつゝ下りたる庭の面、こなたの内をさしのぞき 鹿 蔵 何だ栄喜院長久大姉  〔ト 吉五郎、恟りして位牌を隠し 吉五郎 ヲヽこなたはさつきの馬士どん、さうして、爰へは何しに来たの    だ 鹿 蔵 あんまり返事が遅い故、こつちの様子を見に来たのよ 吉五郎 夫は丁度幸ひだ、ちつとこなたに頼まにやならぬ事がある 鹿 蔵 わしもこなたに頼みがあるが、何と聞ては下んせぬか 吉五郎 さうしておれへ頼みとは、

大塩噂聞書」
(摘要)


















同腹
同じ考え















(ささや)く













































恟(びっく)り


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