「大塩の乱関係論文集」目次
東亜堂書房 1910
◇禁転載◇
| 第三章 乱魁 五 騒乱 上 (3) | 改 訂 版 | |||||||
陣列 |
本表の通りで、松本隣太夫の申口と略符合する、義左衛門の申口 に旧冬平八郎に面会の節、自然異変あらば、門人共を率ゐて一方 の防方致したき心組なりとて、先備・中備・後備と三段に門弟を 引分けたる列書を見せたとあるから、全員を三段に備へることは 予定の陣立であらう、尚人名について一々検すると、同人並に正 一郎の申口により、両名が先手にあつたことは確であるが、それ と同時に義左衛門が今橋筋で大砲の火口に吹かれ、右の手首其他 に負傷し、辛うじて同勢に引添つて進んだことも明白である、又 中陣の人数中柏岡伝七は、十九日の朝平八郎より居村般若寺村の 人夫を引連れまゐれと命ぜられ、上田孝太郎は檄文配附を命ぜら れ、共に暴動に加らず、又阿部長助は天満五丁目辺の人、平八郎 の家来、木八七助は大塩邸の中間とあるが、長助木八の事は明な らず、七助ハ吉助の間違で、当日病気のため同じく暴動に与らな かつた、又済之助の若党植松周次同人中間浅佶は、勿論最初から 主人に従つたのであるが表には見えぬ、本表は斯様に少々宛の差 はあるが、先づ大体に於て正しいものとし、さて此順序によつて 何時まで進んだか、殊に全隊が二手に分れてから、何様な順序で 進んだか、それは少しも解らぬ。 |
本表の通りで、松本隣太夫の申口と略符合する。義左衛門の申口 に旧冬平八郎に面会の節、自然異変あらば、門人共を率ゐて一方 の防方致したき心組なりとて、先備・中備・後備と三段に門弟を 引分けた列書を見せたとあるから、全員を三段に備へることは予 定の陣立であらう。尚人名について一々検すると、同人並びに正 一郎の申口により、両名が先手にあつたことは確であるが、それ と同時に義左衛門が今橋筋で大砲の火口に吹かれ、右の手首その 他に負傷し、辛うじて同勢に引添つて進んだことも明白である。 金助は下辻村の猟師だ。又中陣の人数中柏岡伝七は、十九日の朝 平八郎より居村般若寺村の人夫を引連れ来れと命ぜられ、上田孝 太郎は檄文配附を命ぜられ、共に暴動に加はらず。阿部長助は平 八郎の家来、木八七助は大塩邸の中間とあるが、七助は吉助の間 違で、当日病気のため同じく暴動に与らなかつた。曾我岩蔵は格 之助の若党だからこれは先陣にゐたらう。済之助の若党植松周次 同人中間浅佶は、勿論最初から主人に従つたのであるが表には見 えぬ。本表は若干誤謬があるとしても、先づ大体に於て正しいも のと認める。然し一党はこの順序によつて何時まで進んだか、殊 に全隊が二手に分れてから、何様な順序で進んだか、それは少し も解らぬ。 | ||||||
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