城中の警備
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翻つて城中の景況を見るに、城代土井大炊頭は天満方面の失火尋
常にあらず、平八郎等乱を作すと聞き、両町奉行及目附中川半左
衛門犬塚太郎左衛門に暴動鎮定徒党逮捕の命を下し、万一手に余
らバ打払切捨苦しからずといひ、それから四ッ時頃になり、玉造
口定番を始め、四加番東西大番頭一同を召出し、平八郎暴挙の顛
末を告げ、町奉行目付へは既に鎮定の事を命じたるが、之より利
位本丸を巡視致すにつき、御一統御準備ありたしと申渡した、そ
こで定番但馬守は両組与力同心全部を召集し、四加番は家臣を督
し、両大番頭は配下の組頭・番衆・与力・同心を召集し、銘々持
場を固め、九ッ時城代は両大番頭を 導とし定番四加番を従へて
本丸を巡視し、また具足奉行上田五兵衛鉄砲奉行石渡彦太夫に命
じ、具足及鉄砲玉薬等を配附せしめた、此時青屋口加番米津伊勢
守の拝借申立は具足弐拾領・百目筒壱挺但し玉数百・参拾目筒五
ハザマヅゝ
挺但し玉数三百・拾匁狭筒拾五挺但し玉数五百・合薬弐拾斤・
カズヤ スケ
数矢千本で、守備の人数は物頭三人内壱人は助・給人五人内一人
は鉄砲差配兼大筒方・中小姓六人内弐人は鉄砲足軽世話並に玉葉
等取扱・鉄砲並に長柄弓の者五十人・小頭拾人、右の外に徒目付
徒士等とある、大番組の百騎の面々は孰れも鎧櫃を担いで来る筈
であるが、太平日久しく、鎧櫃の中に鍋釜が入つて居るといふ位
であるから、城中の混雑もまた一通ではなかつたであらう。
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翻つて城中の景況を見るに、城代土井大炊頭は天満方面の失火
尋常にあらず、平八郎等乱を作すと聞き、両町奉行及び両目付に
暴動鎮定徒党逮捕の命を下し、万一手に余らば打払切捨苦しから
ずといひ、それから四ッ時頃になり、玉造口定番を始め、四加番
東西大番頭一同を召出し、平八郎暴発の顛末を告げ、町奉行目付
へは既に鎮定の事を命じたるが、之より利位本丸を巡視致すにつ
き、一統準備ありたしと申渡した。そこで定番但馬守は両組与力
同心全部(町奉行所加勢の分を除く)を召集し、四加番は家臣を
督し、両大番頭は配下の組頭・番衆・与力・同心を召集し、銘々
持場を固め、九ッ時城代は両大番頭を 導とし、定番四加番を従
へて本丸を巡視し、また具足奉行上田五兵衛鉄砲奉行石渡夫に命
じ、具足及鉄砲玉薬等を配附せしめた。この時青屋口加番米津伊
勢守の拝借申立は具足弐拾領、百目筒壱挺但し玉数百、参拾目筒
ハザマヅゝ
五挺但し玉数三百、拾匁狭筒拾五挺但し玉数五百、合薬弐拾斤、
カズヤ スケ
数矢千本で、守備の人数は物頭三人内壱人は助、給人五人内一人
は鉄砲差配兼大筒方、中小姓六人内弐人は鉄砲足軽世話並びに玉
葉等取扱、鉄砲並に長柄弓の者五十人、小頭拾人、右の外に徒目
付徒士等とある。残りの三加番も大体同様であつたらう。大番組
の百騎の面々は鎧櫃を持つて往来する程武張つたものであつたが、
太平日久しく、鎧櫃の中に鍋釜が入つて居るといはれた位である
から、城中の混雑もまた一通りではなかつたと思はれる。
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