Я[大塩の乱 資料館]Я
2006.11.10

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大 塩 平 八 郎 』 その136

幸田成友著(1873〜1954)

東亜堂書房 1910

◇禁転載◇


 第三章 乱魁
  五 騒乱 上 (7)
 改 訂 版


城中の警備

翻つて城中の景況を見るに、城代土井大炊頭は天満方面の失火尋 常にあらず、平八郎等乱を作すと聞き、両町奉行及目附中川半左 衛門犬塚太郎左衛門に暴動鎮定徒党逮捕の命を下し、万一手に余 らバ打払切捨苦しからずといひ、それから四ッ時頃になり、玉造 口定番を始め、四加番東西大番頭一同を召出し、平八郎暴挙の顛 末を告げ、町奉行目付へは既に鎮定の事を命じたるが、之より利 位本丸を巡視致すにつき、御一統御準備ありたしと申渡した、そ こで定番但馬守は両組与力同心全部を召集し、四加番は家臣を督 し、両大番頭は配下の組頭・番衆・与力・同心を召集し、銘々持 場を固め、九ッ時城代は両大番頭を導とし定番四加番を従へて 本丸を巡視し、また具足奉行上田五兵衛鉄砲奉行石渡彦太夫に命 じ、具足及鉄砲玉薬等を配附せしめた、此時青屋口加番米津伊勢 守の拝借申立は具足弐拾領・百目筒壱挺但し玉数百・参拾目筒五           ハザマヅゝ 挺但し玉数三百・拾匁狭筒拾五挺但し玉数五百・合薬弐拾斤・ カズヤ                  スケ 数矢千本で、守備の人数は物頭三人内壱人は助・給人五人内一人 は鉄砲差配兼大筒方・中小姓六人内弐人は鉄砲足軽世話並に玉葉 等取扱・鉄砲並に長柄弓の者五十人・小頭拾人、右の外に徒目付 徒士等とある、大番組の百騎の面々は孰れも鎧櫃を担いで来る筈 であるが、太平日久しく、鎧櫃の中に鍋釜が入つて居るといふ位 であるから、城中の混雑もまた一通ではなかつたであらう。

 翻つて城中の景況を見るに、城代土井大炊頭は天満方面の失火 尋常にあらず、平八郎等乱を作すと聞き、両町奉行及び両目付に 暴動鎮定徒党逮捕の命を下し、万一手に余らば打払切捨苦しから ずといひ、それから四ッ時頃になり、玉造口定番を始め、四加番 東西大番頭一同を召出し、平八郎暴発の顛末を告げ、町奉行目付 へは既に鎮定の事を命じたるが、之より利位本丸を巡視致すにつ き、一統準備ありたしと申渡した。そこで定番但馬守は両組与力 同心全部(町奉行所加勢の分を除く)を召集し、四加番は家臣を 督し、両大番頭は配下の組頭・番衆・与力・同心を召集し、銘々 持場を固め、九ッ時城代は両大番頭を導とし、定番四加番を従 へて本丸を巡視し、また具足奉行上田五兵衛鉄砲奉行石渡夫に命 じ、具足及鉄砲玉薬等を配附せしめた。この時青屋口加番米津伊 勢守の拝借申立は具足弐拾領、百目筒壱挺但し玉数百、参拾目筒            ハザマヅゝ 五挺但し玉数三百、拾匁狭筒拾五挺但し玉数五百、合薬弐拾斤、 カズヤ              スケ 数矢千本で、守備の人数は物頭三人内壱人は助、給人五人内一人 は鉄砲差配兼大筒方、中小姓六人内弐人は鉄砲足軽世話並びに玉 葉等取扱、鉄砲並に長柄弓の者五十人、小頭拾人、右の外に徒目 付徒士等とある。残りの三加番も大体同様であつたらう。大番組 の百騎の面々は鎧櫃を持つて往来する程武張つたものであつたが、 太平日久しく、鎧櫃の中に鍋釜が入つて居るといはれた位である から、城中の混雑もまた一通りではなかつたと思はれる。


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