Я[大塩の乱 資料館]Я
2016.4.8

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』 その11

国府犀東(1873-1950)

(偉人史叢 8)裳華書房  1896

◇禁転載◇

獅嬰孩時と幼年時代(4)

管理人註















問学の修
養学術の
実行
















嚢中の錐

平八郎が其の幼年時代に於ける、問学修養に於いて中井氏の学風の影響を受 け、特に中江藤樹が、嘗つて奉せる余姚の学に傾くべき境遇と、気質とを有                    ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ せることは、前述の如とし、然れども、其の如何にして問学修養をなしたる ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ かは一つの疑問なり、蓋し平八郎は齢未だ二十ならずして、業已に刀筆の吏 として、簿書堆裏に其の生涯を送らざるべからざりしより、特に実用に適切                             ・・・・・・ 画当なる、余姚知行合一の学説を奉ずるに至りたりしとせば、其の吏務の余 ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 暇を以つて、心を聖経賢伝に涵泳せしめ、一たび霊機に触着し来れれば直ち ・・・・・・・・・・・ ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ に之を吏務の上に活用し、応用し、一理を知らば、乃はち之を一行に活用し、 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ 一理一行、着々之れを実務に用来り、積むて以て帰納し、帰納して直覚し、 ・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 直覚し、直覚して断定し、断定して演繹し、以つて其の問学の修学を大成し ・・・・・・・・・・・・・  ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 完成せむと期したるや明けし、其の問学や、実に吏務鞅掌の間に修養された ○ ○ ○ るなり、 此の如くにして、平八郎の幼年時代は過ぎ去れり、渠れは修養時代と、吏務                ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ 時代とに、同時に遭逢せるなり、而して渠れは早く々たる々たる、狷介 ・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ なる、豪悍なる青年として、吏僚の間に嶄然として頭角を現はし、爛然とし ・・・・・・・  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ て異彩を放てり、錐嚢中に在れば、必らず頴脱して出づ、異才は竟に刀筆沺 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 書中の物にあらざるなり、     ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆    応法隆親王令龍田懐古      大塩後素  時移世換幾秋旻。紅葉青流猶自新。岸畔水車頻転展。  看疑当日御遊輪。    退食後江行書懐  厭喧聊比独醒人。曳杖吟詩歩水浜。只恨長江虚滾々。  未曾一洗満城塵。    早春游野外。賦所見。  早春多雨未登山。新霽先游村野間。不啻農人休力作。  耕牛亦臥柵中間。














涵泳
ひたり味わ
うこと

触着
じかに触れ
ること













豪悍
強くて荒々
しいこと

嶄然
強くて荒々
しいこと

頴脱
(えいだつ)
才能が特に
すぐれてい
ること





大塩中斎
「詩 集
 


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