Я[大塩の乱 資料館]Я
2016.4.11

玄関へ

「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』 その12

国府犀東(1873-1950)

(偉人史叢 8)裳華書房  1896

◇禁転載◇

英雄老と英雄漢(1)

管理人註























良吏の儀
範、循吏
の標幟


















一代の木
鐸道学の
柱礎

  ○良吏の儀範、循吏の標幟○一代の木鐸道学の柱礎○近藤守重と大塩平   八○英雄老と英雄漢○秋鷹に繋かれ龍馬桟豆に伏す○平八守重に別る 平八郎は、既に文化九年、齢十九を以つて、大坂町奉行組与力として、吏務              ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ に鞅掌し、刀筆に従事せり、勤勉精励廉直を以つて居り、公平を以て持す、 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 獄を析し訟を聴く、敢為にして果決明截にして神速、迅雷耳を掩ふにあら ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ざる如きものあり、明鏡直に肝胆を照らすが如きものあり、而して循良に、 ・・・・・・  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ 而して謙遜に、渠れは夙とに良吏たり、循吏たるの儀範となり、標幟となれ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ り、而かも其の狷介傲岸なる噐宇と、豪悍桀驚の気骨とは、掩ふべからず、 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 包むべからず、                            ・・・・・・・ 渠は吏務の余暇を以つて、夙に陽明に私淑するところあり、年少気鋭一世を ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ 睥睨し、天下を下瞰し、古今の豪傑を視ること蠕虫の如く、自ら聖賢の域に ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 造謁せむことを期し、早く既に一代の木鐸、道学の柱礎を以つて自ら任せり、 ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・  其の抱負するところや大に、其の期図するところや高し、然り、其の抱負や 此の如く大なり、其の期図や、此の如く高し、渠れ豈に容易に人の下風に立         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ つものならむや、渠の眼中には天下豪傑なきなり、豪傑は渠れ一人みなり、 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ 一世英雄なきなり、英雄は渠れ一人のみなり、聖なく賢なし、聖と賢とは渠 ・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ れ一人のみ、天下亦た之れなし、一世亦た之れなし、其の狷介傲岸なる、豪 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 悍桀驚なる渠れが特に其の一代の木鐸と、道学の柱礎とを以て自ら任するに ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 於て、躍如として其の眉目を視るが如きを覚ゆ、













敢為
(かんい)
物事を思い切
って行うこと

儀範
従うべき模範



噐宇
(きう)
心のもちかた




蠕虫
(ぜんちゅう)
体が細長く蠕
動により移動
する虫


『大塩平八郎』目次/その11/その13

「大塩の乱関係論文集」目次

玄関へ