Я[大塩の乱 資料館]Я
2016.4.28

玄関へ

「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』 その28

国府犀東(1873-1950)

(偉人史叢 8)裳華書房  1896

◇禁転載◇

洗心洞の学風(5)

管理人註











死地に入
つて蘇息
す

と、平八が陽明を崇拝するもの、其れ此の如きあり、文章難渋通せす、と雖 ども、文学語句の間に平八をむるは、平八の真面目にあらざるなり、今此 の文を読むに、其の末段悲哀惨痛、病憊昏倒の余、王氏の書を得て、大に悟                            ・・・・・・・ 入するところあり、大に啓発するところありしを自白せり、心に嬰へる肺疚、 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・ 死せむと欲するもの再三、平八は殆むと死地に落ちしものなり、死して而し ・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ て輾轉蘇息し来る、其の頓として大虚の理を悟り、寂として良知の機に触れ し王学を祖述して別に一家言をなすに至る、固より偶然にあらず、平八は実 に此の如く崇拝する、陽明の家学を尊奉し、祖述し以つて一方には大坂府尹 幕下の賢吏として、吏務の治績を挙げ、一方には、洗心洞学堂の厳師として、 道学の鼓盪に勗めたりしが、其の一世の知己、一代の恩人たる高井山城守が                               ・・・・ 冠を挂けて致仕するや、平八も亦た共に退遯して招隠の篇を賦し、今や唯洗 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ 心洞の厳師たる大塩中斎先生が、荘重厳獅フ儀容を以つて、三千の弟子を見 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・ 台の周囲に睨みながら、洞々たる音調もて、大虚を説き、良知を談じ、議論 ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 風生爽かに鋭く、英気四筵を圧するを見るのみ、










肺疚
(はいきゅう)



輾轉
(てんてん)
ころがること







鼓盪
(ことう)
打ちふるわ
せること

勗(つと)め

挂(か)けて


(げんれい)
きびしく、は
げしいこと


『大塩平八郎』目次/その27/その29

「大塩の乱関係論文集」目次

玄関へ