Я[大塩の乱 資料館]Я
2016.5.24

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩平八郎』 その53

国府犀東(1873-1950)

(偉人史叢 8)裳華書房  1896

◇禁転載◇

知友に一代の翹楚多し(1)

管理人註



















黄塵の底
共に語る
べきなし


















頼久太郎
と大塩平
八郎

  黄塵の底共に語るべきなし○頼久太郎と大塩平八郎○平八芦雁の図を山   陽に贈る○山陽の為めに茶山の遺杖を捜る○佩刀一口日本外史を寄せら   るゝに報ゆ○山陽平八の尾張に之くを送る○山陽と最終の会歓をなす   ○山陽と平八との学術上の方針 文政四辛巳の歳、大坂弓奉行近藤守重が免黜せらて小普請入となり、「丈夫 非涙、不灑離別間、伏剣対樽酒。耻游子顔。」を吟破して、平                  ・・・・・・・・・・・・・ ・・・ 八に送られ、平八に別れ去りてより、平八は一笑眉を軒け目をミし、共に肝 ・・・・ ・ 胆を披き、胸中磊の奇を坐に向つて抛つの知友を失へり、浪華城頭黄塵滾 ・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 々の底、亦た共に語るべき尤物を見ず、幸にして此の年を以つて高井山城守 実徳の来つて市尹となるあり、一方には之れが知遇を受けて、吏務に其の英 才の一端を泄らし、一方には、洗心洞裏に同志を集めて、聖賢を論し、英雄 を罵るを以つて、僅かに其の牢騒壱鬱の悶を排するを得たり、而かも電眼爛 々、八紘を睥睨し、鷹肩稜々、天下に横行せむとする渠れ平八は、未だ一代 の俊髦、一世の翹楚たる英才と膝を接し、掌を拊つて、議論を上下し、懐抱                           ・・・・ ・・・ 相ひ披くの機を得ざりしなり、首を回らして一瞥すれば、幾甸の内、英名夙 ・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・ に渙発して、才気宇内を圧するもの、当時独り三十六峰外史頼久太郎の、鴨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ 涯山紫水明処に偃臥して王侯に事へす、権貴に屈せず、草野布衣の処士を以 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・ つて心を百代の表に涵し、骨を千古の上に欹たゝしめ、史眼古今を照らし、 ・・・・・・・・・・・・・・・  ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○   ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 学識万夫に秀つるあるを睹るのみ、而して平八と久太とは、早く已に相識れ り、


翹楚
(ぎょうそ)
才能が衆にぬ
きんでてすぐ
れている人、
俊秀




石崎東国
『大塩平八郎伝』 
その31

免黜
(めんちゅつ)
地位を下げる
こと

軒(あ)け




尤物
(ゆうぶつ)
多くの中です
ぐれたもの、
逸物

泄(も)らし




俊髦
(しゅんぼう)

翹楚
(ぎょうそ)
俊秀

拊(う)つて






欹(そば)たゝ


睹(み)る


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