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「大端惟在復心体之同然」、「推其天地万物一体之仁」、皆な平等社会
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主義的観念たり、而して其の理想的国家たるものゝ、形体を描くに於ては、
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用之者、惟知同心一徳、以共安天下之民、視才之称否、而不以
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尊卑為軽重、労逸為美悪、効用者、亦惟知同心一徳、 以共安
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天下之民、苟当其能、則終身処於煩劇、而不以為労、安於卑
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瑣、而不以為賤当是之時、天下之人、心煕々々皆相視如一家之
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親、
と謂ふか如く、
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当是之時天下之人、煕々々皆相視如一家之親、
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を以つて、其の理想的国家の治を描き来り、皆相視如一家之親と曰ひて特
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に其の社会主義的観念の一端を吐露せり、
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聖人は一視同仁人なく我なく、人を視ること猶ほ我の如とし、趙公喫酒、李
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公酔、禅家の話頭這の平等を拈出す、人の痛痒は我が痛痒なり、人の喜怒哀
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楽は直ちに我の喜怒哀楽なり、翅に人と我となきものならす、以天地万物
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為一体、故に自なく他なく、我なく物なし、他の肥痩は自の肥痩なり、物
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の休戚は我の休戚なり、与天地同根、与万物一体、禅家の公案亦た之を
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体認す、天地万物を視る昆義赤子の親の如とし、故に聖人の慈悲心は天地万
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物に洽し、昆虫魚介と雖とも、羽毛甲殻と雖とも、聖人大慈悲の外に逸出し
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泄るゝを得さるなり、陽明は此の慈悲心を体して、天地万物を観す、故に曰
はく、
夫聖人之心、以天地万物為一体、其視天下之人、無内外遠近、
凡有血気皆其昏弟赤子之親、莫不欲安全而教養之、以遂其万物
一体之念
と又た曰はく、
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聖人有憂之、是以推其天地万物一体之仁、以教天下、使之皆有
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以克其私、去其蔽以復其心体之同然、
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