Я[大塩の乱 資料館]Я
2011.3.24

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大塩の乱関係論文集目次


『大阪府誌 警察史』

その14

大阪府 1903 より


◇禁転載◇

   第二款 堺奉行。  泉州堺は、往古の外国貿易場にして、市街端正、人家櫛比し、其の繁盛 なりしこと、他国に冠たり。殊に慶長十九年、糸割符の特典を得し以来、 生糸貿易と共に、一般の商勢また大いに盛大を極めき。 是れより先、天正十四年、秀吉は此に奉行一人を置き、以つて其の市政を 主管せしめ、而して其の市政を施行し、刑罰を宣告するに当り、其の慣例 なく、若くは容易に判決し能はざる等のことある時は、之れを大阪町奉行 に問合すを以つて常例どし、役高は千五百俵にして、其の隷属に与力十人 (役禄現米五十石、十人扶持)、同心五十人役禄十石、三人扶持)を有し、 是等を吟味方(訴訟吟味等を掌る)、盗賊方(犯罪者の補縛、拷間、刑の 執行、また、常に市街巡邏の任に当り、其の手先に、垣下及び長吏と名づ                  じかた くる、罪人の捜索及び補縛方あり、地方(営業、諸興行、船舶等の取締、 租税の徴牧、及び港湾通路の修築等、其の他会計、貧民救助等をなす川方、 大和川、石川等、総べて幕府の支弁に係る修繕、及び土木の事務を掌る)、 寺社方(寺院神社に関する事務を掌る)等の役目を分かち、以つて其の局 面に当りき。  以上は警察制度に関する概略にして、中に就き、最主なるものは、金銭 の貸借上に於ける訴訟事件、及び盗賊方等とす。即、地方の習慣として、 債務者の返済期限に至りても、猶返却せざるときは、債務者訴訟前に先だ ち、町ならば、自己の管内の町年寄、又、村方ならば、庄屋等に依りて、 債務者の町年寄、又庄屋等より、債務者へ説諭せられんことを申請し、之 れを引合と称せり。此の時、債務者方の年寄、若くは庄屋は、双方に交渉 し、之れが融和を図るは、其の職務の一にして、調はざるときは、爰に初 めて訴訟を提起するものなり。今、其の訴状文例を示せば左の如し。


『大阪府誌 警察史』目次/その13/その15

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