Я[大塩の乱 資料館]Я
2011.4.4

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大塩の乱関係論文集目次


『大阪府誌 警察史』

その25

大阪府 1903 より


◇禁転載◇

 又、地方に於いては、大小の百姓をして、五人組を設け、農民等の法度 に違背せしものあるか、若くは其の兆候あるときは、直ちに之れを上申ま た密告せしめ、若隠居、脇より上申したるときは、之れを賞し、五人組及 び名主は、曲事申付け、又、支配所の添役衆にして、名主、百姓に対し、 へんぱ 偏頗、若くは無体の所為あるときは、上申、又は之れを記して書附御筒へ 投ずべし。年貢米、皆済前に先だち、他処に売却せしむべからず。若、良 米を売りて、悪米を納めしものあるときは、名主五人組に至る迄、曲事申 付く。 年貢米の倉庫附近の火炎に際しては、村中男女の別なく、之れを防ぎ、若、 類焼に罹りしときは、之れを弁米せしめ、又、悪党及び窃盗等ありて、油 断したるため脱走したるとき、及び博奕、其の他の勝負の法度を犯しゝも のは勿論、名主五人組に至る迄、曲事申付く。 質屋古着屋に於いて、質物を取るには、置主及び証人を吟味し、且、其の 印形を取り、一人にて印形二つ持ち来たり、置主若くは証人の名前を云ふ ものは、正当の者と認むべからず。      そせつ 若、吟味麁洩にして、盗物を質取り、又買取りたるものあるときは五人組 名主共に曲事たるべしと。  又、万治元年十二月、令して云はく、勘定奉行より代官に、各伝馬宿の 者は、公儀の御法度を背かず、冗費を省き、勤倹にして、来往者の便を図 り、参勤御番替、其の他、通行人の多きに際し、人馬に不足を生ずるとき           さしつかえ は、折々見廻はりて、差閊なからしめ、殊に公儀の御用に際し、町人百姓 の我儘なる所為、其の他法度に違反せしめざるやふ、管内の庄屋、問屋、 組頭等に誓約せしむべしと。  寛永二十年三月、令して云はく、在々仕置の件に付きては、百姓の衣類   さき は、曩に発布せられし如く、庄屋は妻子共、絹紬、布木綿、脇百姓は布木 綿を着用し、而して食物は常に雑穀を用ひ、猥に米を食ふべからず。在所 に於いて、醸酒し、若くは他所より買入れ、商売をなすべからず。地所よ り無職の者来たりたるときは、之れを郷中に住ましむべからず。若、隠置 したるものは、曲事たり。 地頭代官の処置悪しくして、不平なる者は、年貢皆済の上、他へ居住すべ し。田畑永代売をなしゝものは、牢舎の上、追放し、本人もし死亡したる                かたいろう ときは、其の子同罪、買主は、過怠牢にして、本人死亡したるときは、其 の子同罪とす。而して其の田畑は、売主の代官、又は地頭、之れを没収し、 此の証人また過怠牢にして、本人死亡すとも、其の子に搆なしと。  慶長十七年八月六日、烟草禁制の件に付き、喫煙、又売買を禁じ、之れ を訴へ出でたる者は、双方の家財を与ふと。 降りて元和二年に至り、煙草を造りしもの、及び売買せし者は、町人は五 十日間、百姓は三十日間、自分賄にて、籠舎、若くは過料金に処すと。  又、明暦三年、凶作なりしを以つて、万治元年十二月、令して云はく、 去年、当年耕作損亡に付き、江戸、京、大阪奈良、堺をはじめ、其の他名 酒の所々に至るまで、当年及び来年は、例年の半分づゝ醸酒し、新規の酒 屋は一切停止す。若、是等の違背者あるときは、本人は勿論、代官に至る 迄、曲事とし、之れを訴へ出でし者は、たとへ下人と雖、褒美を下賜すと。


『大阪府誌 警察史』目次/その24/その26

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