Я[大塩の乱 資料館]Я
2011.4.2■

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大塩の乱関係論文集目次


『大阪府誌 警察史』

その41

大阪府 1903 より


◇禁転載◇

入墨。  入墨の刑に処せらるゝ者は、重敲また敲の刑を加へらる。其の仕方ば、 囚人掛は、囚人を白洲に呼び出だして、入墨執行の事を申渡し、一旦帰牢 せしめし後、牢屋下男は、之れに縄を掛け、牢屋同心一人附添へ、牢屋見 廻詰所前、砂利の上へ筵を敷きて座せしめ.御牢証文に引合ひ、名前、肩 書等、形の如く其の手績を了へ、非人手伝は、左の腕を脱がせ、下地彫物 の有無を改め、肘上幅五分程、墨にて二筋引廻し、針にて彫り、指に墨汁 を附け、針跡に塗り、更に両手にて摺り込み、手桶へ腕を架し、水にて墨 を洗ひて、よく拭ひ、針の行届かざる箇所あらば、二たび針に墨汁を附け、 彫ること前の如くし、また水にて洗ひ清め、牢屋見廻見分のうへ、更に針 跡へ筆にて墨汁を濃く引廻し、紙にて捲き、紙撚にて結びて終り、入墨の 乾かぬ間は、中三日間、溜預けにして、見分のうへ、出溜を命ぜらる。 而して堺に於いては、窃盗詐偽等の初犯者は、五十日乃至百日の入牢を命 じ、放免に際し、右腕に一筋の入墨をなし、以つて初犯の印となし、再犯 者は入牢のうへ、入墨を二筋となし、三犯に至りて断首としたりき。 而して本刑は、各藩に於いて、其の印する箇所、及び数等に異同あり。今、 左は本刑に相当すべき罪科を示さん。 一、取次くべき商品を質入し、又、金銀を横取せし者。    但、金銭は、拾両以上、商品は代金に積りてす。 一、打荷、又は破船と偽り、其の荷物を押領せし水主。 一、陰物買、若くは、之れを知りて又買の者は、本刑の上、敲。    但、年来此の事にかゝりし者は、死罪。 一、一時の出来心にて盗みし者。 一、古主人の宅に忍び入り、旅人の金子を盗みしも、古主人の難義を察し、  之れを返さんとの所為ありて、神前等に投込みし者。


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