Я[大塩の乱 資料館]Я
2011.5.3

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大塩の乱関係論文集目次


『大阪府誌 警察史』

その49

大阪府 1903 より


◇禁転載◇

庄屋を殺害したる者の仕置。                   まった  明和九年、松平右京太夫領分、河内国茨田郡岸和田村、即、今の北河内 郡四宮村、百姓源兵衛といへるもの、其の姉聟なる当村の庄屋弥兵衛に対 し、些少の意恨を含みて、敲殺せり。然るに、姉聟又庄屋を殺害せし者に 適用すべき法のなきを以つて、姉聟は之を通例とし、庄屋は之れを名主の 法に準じ、幕府に伺ひて、大阪町中引廻のうへ、居村に於いて、獄門に刑 せられき。 人を焚殺しゝ者の仕置。  文化四年、無宿徳松外三人、並に熊次郎といへる者、所ゝの飼犬を盗み、 皮を剥ぎて売り払ふを職とし、一日、幸町五丁目にて飼犬を盗みしを見咎 められ、之れを遺恨に思ひ、持合せの棒、又、有合の割木を以つて打擲し、 且、焚火の中に打込み、銘々にて両手両足を押へ、終に焼殺せしを以つて、 時の町奉行は、一統を大阪三郷町中引廻のうへ、獄門に処し、熊次郎のみ は、当年十五才の幼年なるにより、遠島とせり。 元来掟書に依れば、自己の悪事の露顕を蔽はんが為、その人を殺害したる 者は、獄門なれども、徳松等の如きは、其の非行の甚しき者なるを以つて、 先例に傚ひ、一等を加へて、本刑に附せられしものなり。 牢抜けせし者、及び関係役人の仕置。  安永九年、大阪無宿長柄の十右衛門といへるもの、遠島にて、航海中、 船中にて囲を抜け、入牢中、小刀を以つて牢内仕切の板を切明け、又、在                           あしかせ 牢中の女と密会し、且、これを害殺したるを以つて、手鎖足械を入れられ、 役人播州西成郡役人村、住吉屋伊兵衛に訓合ひて、脱牢し、且、順慶町に 於いて、商品を盗取りたるを以つて、大阪三郷町中引廻のうへ、獄門に附 せられ、伊兵衛は、十右衛門に在牢の女と密会せしめしのみならず、徳用 を取りて、十右衛門の手鎖を外し、牢屋表門へ連出だしゝ等の悪事あるを 以つて、死罪に処せられき。  以上に於いて刑に関する概略を記せり。


『大阪府誌 警察史』目次/その48/その50

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